まさにぃの折り紙コラム

折紙師範まさにぃのブログ。

甲羅までリアルに再現! 神谷哲史折り紙作品集「アカウミガメ」に初挑戦

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今回ご紹介するのは、神谷哲史折り紙作品集3よりアカウミガメ

甲羅の模様だけでなく、甲羅のフレームまで精巧にデザインされた作品です。

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テキストのお手本は赤茶色なのですが…

ウミガメ(カメ全般)のイメージって、何だか緑色なんですよね。

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発売当初から「難しい」と評判だったのすが…やはり難しかったです!


☘️今日のトピック☘️

❶セリア53cmが活躍

❷えげつない甲羅の折り込み

❸川畑氏の「亀」もヤバい


♦︎♦︎♦︎


❶セリア53cmが活躍

35cmくらいの紙で作ろうかと思っていたのですが、やはり最初は大きい方が安心です。

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普通に手に入る最大のサイズ、セリアの53cmを採用しました。

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最初はバサバサして折りづらいのですが、甲羅などの複雑なパーツは細部がよく見えるので、初めての作品にはもってこいです。

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完成サイズは、およそ20cm。

手と比較すると分かりますが、結構でかいです。

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しかし、えげつない甲羅の構造(後述)を考えると、これくらい大きくないと破綻していたかもしれません。

どでかい紙を使って正解でした。


❷えげつない甲羅の折り込み

亀の甲羅をリアルに再現するために、176工程のうち47工程は、すべて仕込みに費やします。

それだけでも辛い作業だったのですが、組み立てはさらに大変でした。

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意外だったのは、中心にある5つの六角形よりも、甲羅のフレームの方が難しかったこと。

甲羅部分とフレームで、ヒダの仕切り幅が微妙にズレているのが分かりますでしょうか。

このズレを作るのが、予想以上に複雑だったんですよね。

本物の亀の甲羅も、確かにそうなっていますが…

それを再現するために、ここまでやるんかい!

神谷氏のこだわりは、凄まじいですね…


❸川畑氏の「亀」もヤバい

亀の甲羅を折り紙で折るなんて、変態なんじゃないか…


と、思ったら。

あるんです、他にも。


川畑文昭さんの「亀」です。
(2019/06/23)

masanii-origami.hatenablog.com

(2019/06/17)

masanii-origami.hatenablog.com

(2019/06/15)

masanii-origami.hatenablog.com

 

こちらは、手足の指までついたリクガメ。

背中には正六角形が7つ敷き詰められています。

60°の折り筋をびっしり仕込むのがツラい。

仕込みの段階でびっしり並ぶ正三角形が、その変態っぷりを物語っています。


「甲羅の模様を折り出したカメの作品は、今でこそ珍しくありませんが…」

アカウミガメの説明書きに、こうサラリと書いてあるのですが、よくよく考えるとヤバい世界ですね。


♦︎♦︎♦︎


神谷哲史折り紙作品集3より「アカウミガメ」でございました。

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細部はいびつですが、大きな失敗なく形にできたので、まぁ良しましょう。

もう少し小さいサイズで、しっかり作り直したいところ。

どんな素材を使うは、考え中です。お楽しみに!

 

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「彩雲紙×あじさい折り」は相性抜群。2種類の花折りピラミッドをお披露目!

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最近はすっかり温かくなり、爽やかな陽気になってきました。

せっかくの連休なのに出かけられないのが残念ですが、ここはグッとこらえて乗り切りましょう!

私も必然的に家で過ごすことが多くなり、折り紙をする時間が増えています。

この日は、久しぶりに「あじさい折り」をやってみました。

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使ったのは彩雲紙。

縦横ナナメ32等分、ミニサイズの「花折りピラミッド」です!


☘️今日のトピック☘️

❶余りものには福がある

❷丸型or角型、お好みは?

❸光と影のアラベスク

 

♦︎♦︎♦︎

 

❶余りものには福がある

四ツ切サイズ(54.3cm×39cm)の彩雲紙からバラを折ったのは、前回・前々回のこと。
(2020/05/01)

masanii-origami.hatenablog.com

(2020/04/29)

masanii-origami.hatenablog.com

 

このときに余った長方形が、今回の材料です。

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せっかく「あじさい」と名付けられた絵柄なので、あじさい折りをやりたいと思っていたんですよね。

彩雲紙は、すでに生産終了している貴重な素材。

むげに捨てるなんてバチが当たります。

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三角に折ってフチを切り落とすと、およそ12cm×12cmの正方形ができます。

この幅で作れるのは、最大2枚です。

ちなみにバラは2個作ったので、長方形はもう一つあります。

用途は未定なので、長方形のまま保管中。
リクエストがあれば、おっしゃってくださいね。


❷丸型or角型、お好みは?

花折りピラミッドは、終盤の折り方が2通りあります。

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スタンダードなのは、カドを端まで折り込んでいき、四角いシルエットに仕上げる「角型」。
紙の端まで、ムダなく作り込むことができます。

もう一つは、工程14の状態からカドをひっくり返し、一輪の花のようなフレームを作る「丸型」。

ブローチなどに加工に向いている形です。

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少しの細工で表情がガラリと変わるのも、あじさい折りの面白いところ。

端正な角型と、優しい丸型。どちらも甲乙つけがたいですね。

さて、皆さんのお好みは?


❸光と影のアラベスク

あじさい折りの魅力は、光にかざすと際立ちます。

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縦・横・斜め…すべて規則的に仕込まれたラインと、徹底的にパターン化された構造。

これらが織りなす美しい模様に、毎回ハッとさせられます。

組み立て前の段階でも、十分きれいですね。

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この模様は、紙の重なり方の違いから生じるもの。

通常の複雑系作品は、折れば折るほど厚くなり、透かすと真っ黒になってしまいますが、あじさい折りはどこまでも厚みが均一です。

「明」と「暗」を行ったり来たりしながら、独特の美しい模様を作っているんですね。

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もちろん他のあじさい折り作品や、シンプルな基本形でも綺麗なパターンは現れますので、ぜひ皆さんもやってみてください。

「ハッとする瞬間」を、たくさんの方に味わっていただきたいものです。

(2019/05/28)

masanii-origami.hatenablog.com

(2018/09/21)

masanii-origami.hatenablog.com

 

♦︎♦︎♦︎

 

あじさい折りの中でも大好きな作品のひとつ「花折りピラミッド」。

いつもの15cmより小さいので心配でしたが、きれいに仕上がって良かったです。

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おうちゴールデンウィークはまだまだ続きます。

次は何を作ろうか。

今後のコラムにも、ご期待くださいませ。

 

彩雲紙×バラ折り紙・第三弾! 〜ロゼット咲きのオールドローズ〜

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先日ご紹介した、青基調のカラフルな厚紙「彩雲紙 あじさい」

佐藤ローズの代表作・ハイブリッドティーローズが、ガラス細工のように繊細な仕上がりになりました。

(2020/04/29)

masanii-origami.hatenablog.com

 

これを機に、1ヶ月ほどご無沙汰だった佐藤ローズ熱が再燃。

同じ紙で、今度は「ロゼット咲きのオールドローズを折ってみました。

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☘️今日のトピック☘️

❶中心に星形をつくる

❷スムーズに巻き込むコツ

❸虹&あじさい、お好みは?


♦︎♦︎♦︎


❶中心に星形をつくる

中心をキレイに仕上げるため、ある細工をしています。

工程37の折り筋を、水平でなくナナメにつけているんです。

元ネタは、佐藤直幹さんがInstagramで2019/11/18に教えてくださった方法。

www.instagram.com

 

水平線のちょうど半分、角の二等分線で折っています。

工程38の時点で、中心が正五角形ではなく星形になっていればOKです。

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過去のコラムでも写真をたくさん上げているで、良かったら参考にしてみてください。
(2019/11/23)

masanii-origami.hatenablog.com

 

❷スムーズに巻き込むコツ

花びらを収束させる工程41-46は、佐藤ローズ全体の中でも特に難しいシーンです。

何から手をつけていいか分からず、手が止まっしまう方もいるのではないでしょうか(私が最初そうでした)。

だんだん慣れてきたので、私なりに手順を分解し、着目ポイントをまとめてみました。

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①遠心中割り折りをしっかり付け直す

②中心の星形を閉じる

③中割り折りをキープしたまま、外側から圧力をかける

④星形が時計回りに回転する(ここ重要)

この時点で、星形と中割り折り部分は、ほぼ同じ高さです。

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他のバラは中心にいくほど高くなりますが、この作品は中心がスリバチ状になっており、少し低くなるので注意が必要です。

中心がまとまったら、他のバラと同様に外側をたたむだけ。

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少なくとも「星が回転する」という現象を把握しておくだけで、スルリと自然に巻き込むことができるはずです。

収束後のシーンも記録しておいたので、全体のプロセスを把握するのにお役立てください。


❸虹&あじさい、お好みは?

前回のハイブリッドティーローズも含めて、彩雲紙を使うのは3回目となります。

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初めてお披露目したのは、「剣弁高芯咲きのバラ」を作った2月のこと。
(2020/02/09)

masanii-origami.hatenablog.com


この時に使ったのは「虹」。

ピンク基調に青・緑などが入った、賑やかなカラーリングです。

せっかくなので、今まで使った彩雲紙のバラを並べてみました。

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皆さんのお好みのバラは、ありますでしょうか?

他にも「桃」「大理石」という2つの彩雲紙が手元にあるので、何を折ろうか思案中です。

お披露目は、今後のお楽しみということで!


♦︎♦︎♦︎


彩雲紙×ロゼット咲きのオールドローズ、いかがだったでしょうか?

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佐藤ローズの中でも特に難しい作品ですが、しっかりとした紙質のおかげで、破れることなく完成させることができました。

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最近よく作っていた複雑系とは違い、花びらの曲線など、アレンジの余地が多い佐藤ローズ。

同じバラを作っても、折り手によって雰囲気が異なるのも面白いです。

そういえば、そろそろバラの季節ですね。

外に出られない代わりに、折り紙のバラを楽しんでみてはいかがでしょうか。

 

 

彩雲紙で折る、青いハイブリッドティーローズ 〜おうち時間にバラ折り紙を〜

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久しぶりにハイブリッドティーローズを折りました。

佐藤ローズの制作は、先月に「Origami」を折って以来。

感覚を忘れていないか不安でしたが、何とかなりました。

(2020/03/26)

masanii-origami.hatenablog.com

 

使ったのは「彩雲紙 あじさい」

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淡い水色を基調に、緑や紫などが混ざったカラフルな厚紙です。

同じ紙をバックにしたら、とても良い雰囲気の写真が撮れました。

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エアリスの故郷アイシクルロッジ付近にある「ガイアの絶壁」を思い浮かべるのは、私だけでしょうか。

(分かる方はどれだけいるのでしょうか…)

 

さて、FF7トークはこれくらいにして。

今日は、佐藤ローズをより美しく作るためのコツをご紹介。

がっつりテクニカルな話題をお送りいたします。


☘️今日のトピック☘️

❶五角形カットの新発想!

❷仕込み終盤のひと工夫

❸中心付近のカーブ


♦︎♦︎♦︎


❶五角形カットの新発想!

佐藤ローズに欠かせない五角形カット。

今回は、佐藤さんがInstagramで紹介されている方法を実践してみました。

「辺の長さの4%を空ける」という、中一隆さんが計算された折り方です。

※テキストにも載っています。

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具体的な手順は、佐藤さんの2020/04/23の投稿をご確認ください。

www.instagram.com

www.instagram.com

 

今回の用紙サイズは、一辺が27.15cm。

(四ツ切の半分=八ツ切から正方形を切り出した大きさ)

その4%=1.086cmを残して折り、目印をつけます。

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あとは、テキスト通りにたたむだけ。

最後のカットは、2mmほど余分に切ると誤差を抑えられます。

これは佐藤さんに直接教わりました。
(2019/09/04)

masanii-origami.hatenablog.com

 

さて、結果はというと。

切り出された形は、見るからにキッチリとした正五角形になりました!

星形もきれいですね。

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寸法を測るのを忘れてしまいましたが、これで安心してバラ作りに集中することができます。

 

なお、私も以前のコラムで、分度器を使った寸法の合わせ方をご紹介しています。

こちらは「斜めラインを36°の角度で折る」というものです。

こちらも理論上は正確に折れるので、良かったら試してみてください。
(2019/12/27)

masanii-origami.hatenablog.com

 

❷仕込み終盤のひと工夫

次は、工程17-18のアドバイスです。

テキストでは、5枚あるヒダのうち「2枚→3枚」という順番で折り筋をつけています。

もちろんその方法でも良いのですが、ここは紙の厚みは少ない方が誤差が出にくいので、常に2枚ずつ折るのをオススメします。

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具体的には、

①2枚まとめて折る

②1枚ずつ折り替える

③再び2枚まとめて折る

というもの。

③の段階で下の紙に折り筋がついているので、目印として活用できます。

テキストより3工程多い5工程を必要としますが、かなり折りやすくなるはず。

あくまでも個人的な意見ですが、私はこれで失敗した試しがありません。


❸中心付近のカーブ

最後に工程25-29、収束する際のコツをお伝えいたします。

2週間ほど前、とある方から相談を受けた内容です。

中心から伸びる線と、遠心中割り折りの根本から伸びる線。

これら2つの線をうまく繋げないと、キレイな巻き込みができません。

ここは直線でなく、ゆるやかな曲線を描きましょう。

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親指の腹を使って少しずつプレスしていくと、ナチュラルな線ができます。

Before-Afterの写真を並べてみたので、参考にしてみてください。

 

忘れてはいけないのが、5箇所のバランス。

反対側からも同時に押してみて、時々うずまき状の形を作るとバランスが整います。

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一度収束すると、なかなか修正がきかない佐藤ローズ。

コツを掴むまで大変かもしれませんが、ここが頑張りどころです!

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♦︎♦︎♦︎

 

というわけで、今日はがっつり技術系の内容でございました!

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ちなみに2番目の花びらは、一番外側の花びら目立たせるために、折り方をちょっと変えています。

過去のコラムで解説しているので、余裕がある方はチャレンジしてみてくださいね。
(2019/10/02)

masanii-origami.hatenablog.com

 

連休中に時間を持て余している、そこのあなた。

これを機に、世界一ポピュラーなバラ折り紙「佐藤ローズ」に挑戦してみてはいかがでしょうか。

経験者の方は、さらに突き詰めてみるのもオススメです。

#おうち時間 」、エンジョイしていきましょう。

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真っ赤なおなかがアクセント!「アカハライモリ」を黒&赤の両面折り紙で。

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フチモトムネジさんのアカハライモリを折りました。

出典は「切らずに一枚で折る 爬虫類・両生類折り紙」。

以前ご紹介した「ウーパールーパー」と同じ本です。
(2020/04/19)

masanii-origami.hatenablog.com


きれいな川の隅っこを探すと、たまに見つかるコイツ。

刺激を受けると、体を反らせて赤いおなかを見せるのが特徴です。

そう、このポーズがやりたかったんですよね。

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生き物好きな方なら、ご存知の方もいるのではないでしょうか。

 

素材は、クラサワの両面単色おりがみ。

「B15-03 あか/くろ」という、ドンピシャな色が見つかりました。

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それでは、1枚の紙が1匹のイモリちゃんになるまでの様子をお楽しみくださいませ。


☘️今日のトピック☘️

❶仕込みは「ルート分割法」で

❷蛇腹まみれの組み立て作業

❸赤色を出すマジック


♦︎♦︎♦︎


❶仕込みは「ルート分割法」で

まずは、縦横20等分の折り筋をつけるところからスタートします。

全体を5等分→それぞれを4分割というプロセスなのですが、今回はテキストとは別の方法をとりました。

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あじさい折りでおなじみの「ルート分割法」です。

正方形の一辺を、キッチリ正確に5等分することができます。

「斜め折り四段ピラミッド」で散々やったテクニックです。
(2020/02/29)

masanii-origami.hatenablog.com

 

アプローチは違えど、要は20等分できればOK。

ちなみに、足立区CAFE RICCOで折った「ブリュッセルワッフル」にも、同じ方法が使えます。
(2020/03/20)

masanii-origami.hatenablog.com

 

❷蛇腹まみれの組み立て作業

20等分の折り筋を仕込んだら、折り筋の向きを変化させながらパキパキと畳んでいきます。

ウーパールーパーにはない少々複雑な作業なので、慣れていない方は戸惑うかもしれません。

山折り・谷折り線をしっかり観察して、マス目を間違えないよう慎重に進めましょう。

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あじさい折りや昆虫などを折った経験があり、網目状のラインを泳ぎ回れる方なら、スムーズにできるはずです。

だんだん一枚の正方形が、ほっそりしたトカゲの形になっていきます。

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こうしたプロセスが見られるのは、折り手の特権。

いつ見ても面白いですよね。


❸赤色を出すマジック

トカゲのシルエットを裏返すと、おなかは真っ黒です。

ここからどうやって「赤いおなか」を出すのでしょうか?

 

パーカーのフードをひっくり返すように、紙を裏返すんです。

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中心の突起をベコッとへこませて、まわりを少しずつめくっていきます。

フチが引っ張られて破れやすくなるので、力をかけるのは最小限に。

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頭はちょっと窮屈ですが、シッポは周りを開いて負荷を分散させることができます。

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残ったおなかを外側に折り返せば…

あら不思議。

鮮やかな赤色が、一面に現れました!

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実はこのテク、部分的に裏面を使う場合には結構ポピュラーな方法です。

勝田恭平さんの「グリフォン」にも出てきます。
(2019/01/30)

masanii-origami.hatenablog.com

 

中級〜上級者向けの作品にはちらほら出てくるので、コツを覚えておくと便利ですよ。


♦︎♦︎♦︎

 

フチモトムネジさんの「アカハライモリ」でございました。

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私は高校生の頃に生物部に入っていたのですが、観察会で川の上流に行った際にコイツを見かけたことがあります。

実は先日折ったウーパールーパーも、部で何匹か飼っていたんですよね。

色々な生き物(人間含む)に囲まれて、楽しい3年間でした。

もう10年以上前の話ですが、当時を思い出して、懐かしい気分になりました。

 

金ピカ折り紙、フェニックスに成るまでの軌跡【後編】

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神谷哲史作品集2より「フェニックス」、ついに完成です!

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53cmのホイル紙にびっしりと折り筋を仕込んで、うねるような蛇腹を畳んでいった前回。
(2020/04/23)

masanii-origami.hatenablog.com

 

それから先は頭や翼、尾羽などのパーツを一気に仕上げました。

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フェニックス制作記【後編】。

ホウキのように細長い物体が「鳳凰」に化ける様子を、どうぞご覧くださいませ!


☘️今日のトピック☘️

❶足の爪までリアルに!

❷ここにも「鶴の基本形」

❸やっぱり翼は難しい

❹意外とシンプルな尾羽


♦︎♦︎♦︎


❶足の爪までリアルに!

それではまず、両脚から。

無数に重なる蛇腹をバラして中割り折りすることで、指の基礎を作っていきます。

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90°を4等分、22.5°になった指先をさらに沈め折りして、よりシャープに研ぎ澄ませる作業です。

当然ながら指は入らないので、爪楊枝やカッターナイフの背を使って正確なラインをなぞっていきます。

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次に太もも・カカト。

通常の教育折り紙では、あまりの厚みに折ることができず「曲げる」になってしまいます。

ここを「折る」ことができるのは、ホイル紙などの薄い紙ならでは。

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最後に、爪先をかぶせ折り。

鉤爪をグワッと開いたら、猛禽類のように迫力のある両足の完成です!

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❷ここにも「鶴の基本形」

さて、お次はアタマです。

あらかじめ網目状に仕込んでおいた、紙のカドを使います。

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基本的には22.5°がベースの規則的な構造なので、いわゆる「複雑系」に慣れている方には理解しやすいと思います。

(折れるかどうかは別問題です)


途中で、「ツルの基本形」の一歩手前、慣れ親しんだ形が現れました。

エンシェントドラゴンと同じですね。

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そもそもパーツ自体が極小なので、爪楊枝を使ってチマチマと作業を進めていきます。

いつも額(ひたい)が裂けてしまうのですが、折らずに丸める事で乗り切りました。

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クチバシを開いて、首まわりを整えたら、端正なお顔のできあがり。

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❸やっぱり翼は難しい

個人的にフェニックスの最難関だと思っているのが、この「翼」です。

ガバッと開いて、意味の分からない畳み方をする工程102〜108。

ヒダを裏へ表へひっくり返し、ななめに広げていく工程176〜186。

埋め込まれたヒダを引っ張り出す工程188〜190。

 

今回こそは、一発で鮮やかに決めたい!

と意気込んだものの、またまた苦戦してしまいました。

左側で散々やらかしたおかげで、右側は比較的きれいに折れたのですが…

神谷氏の作品は、やっぱり一筋縄ではいきませんね。

でも、羽の先端をキッチリ尖らせたら、意外ときれいにまとまりました。

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全体のシルエットがこちら。
鳥の丸焼きみたいですね。

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❹意外とシンプルな尾羽

いよいよ最後は「尾羽」です。

一番目立つパーツであり、妥協せずエレガントに仕上げたいところ。

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とても複雑そうに見えますが、実はけっこう単純なんです。

無数に連なるヒダの正体は、中割り折りの繰り返し。

根本から「前1・後1/2・前1・後1/2…」といった具合に、一定のパターンで折っていきます。

端まで到達したら、背側の両脇を立てて整えます。

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あとは、自由に曲げればOK!

翼や頭などのパーツと比べると、非常に分かりやすい構造です。

多くの作例は前側に丸めている事が多いのですが、後ろに流して優雅に飛ぶ姿を表現しました。

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♦︎♦︎♦︎


神谷哲史作品集2より「フェニックス」、いかがだったでしょうか?

【前編】【後編】の2回にわたりお付き合いいただき、ありがとうございました。

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エンシェントドラゴンもしかり、過去に折ったことのある作品に再チャレンジするのは、なかなか有意義です。

自分のスキルアップを確かめるのはもちろん、当時を思い出して懐かしさに浸れるのもいいですね。

新しい作品の開拓と、過去の作品のおさらい。

どちらもバランス良く、楽しんでいきたいと思います。

 

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金ピカ折り紙、フェニックスに成るまでの軌跡【前編】

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神谷哲史作品集2の「フェニックス」に挑戦中です。

作品集1の「エンシェントドラゴン」を折ったのは、つい先週のこと。

(2020/04/15)

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「道が険しいほど、後から見える景色は美しい」とはよく言ったもので…

あろうことか、また工程数200オーバーの作品に手を出してしまいました。

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今回は【前編】をお届け。

一枚の紙がどんどん畳まれていく様子を、じっくりご覧くださいませ。


☘️今日のトピック☘️

❶過去2回の軌跡

❷超ロングななめ仕込み

❸変則エキサイティング蛇腹


♦︎♦︎♦︎


❶過去2回の軌跡

フェニックスは、2013年・2017年に折った事がある作品です。


2013年は、黄色い模造紙。

エンシェントドラゴンと同じく、かなりの厚みになってしまったので、その処理に相当手こずった覚えがあります。

翼の造形が難解すぎて、かなりの部分を省略してしまいましたが、何とかバランスを整える事ができました。

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キレイに仕上がった足指は、特に気に入っているポイントです。

この作品は近所の図書館に寄贈したのですが、今でも窓口に飾っていただいています。


そして、4年後の2017年。

結婚する同僚カップルへ、記念品として贈ったものです。

使ったのは「グラシン紙」。

通常の半分くらいの薄さ(50kg)の透明感のある素材で、これを求めて銀座の伊東屋まで行きました。

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薄いのに丈夫なので折りやすく、2003年にできなかった翼をシッカリ仕上げることに成功しています。


❷超ロングななめ仕込み

さて、思い出話はこれくらいにして、早速始めましょう。

今回使ったのは、53cmのホイル。

過去2回のチャレンジでは1m近い紙を使ったので、半分くらいの大きさです。

でもまぁ、同じ紙でTemple Dragonも折れた事だし、何とかなるでしょう!

(2020/04/05)

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テーブルに乗り切らない大きさの紙を、バサバサと折っては戻し、折っては戻し。

全工程225のうち40は、折り筋の仕込みに費やします。

(274工程のエンシェントドラゴンより多いです。)

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そして、とんでもない量の蛇腹。

尾羽・足指・翼を作るための構造なのですが、縦横に加えて22.5°のナナメ方向にも折るという変態っぷりです。

重なった箇所がズレないよう細心の注意をはらいつつ、超ロングな蛇腹を作っていきます。

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やっとの思いで巨大な「せんす」をこしらえた後には、これまでの苦労に追い討ちをかける一言が。


「全部ひろげる」

はい、出ました。

「反対側も同じ」と並ぶ、挑戦者の心を折るパワーワードです。

かくして、もはや「それだけでも作品なんじゃないか」と思うほど、びっしり模様がついた正方形が出来上がるのでした。

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❸変則エキサイティング蛇腹

仕込んだら、それを組み立てにゃならん。

ナナメに付けた折り筋に沿って、「沈めるように段折り」をリピートしまくります。

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折り筋は超ロングなうえ、3方向に分散しているため、トリッキーな「うねり」が発生します。

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えげつないビジュアルですが、折るべきラインを見定めながら金ピカの迷路を泳ぎ回るのは、なかなか楽しいです。

角度によって光の反射が異なるので、キラキラがキレイですね。

作り途中にしか見られない貴重な映像を、お楽しみくださいませ。

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♦︎♦︎♦︎

 

はい、今日はここでタイムアップ!

現在の進捗は…


どーん

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棒です!

ホウキです!

ロケットです!!


しばらく長〜いシッポ(尾羽)はそのままに、脚や翼などを作っていきます。

ちなみにアタマの構造も、変則的な蛇腹がベースです。

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この時点でも何となく、鳥っぽいですね。

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さて、ここから各パーツを仕上げて、ハンサムな鳳凰に仕上げてみせましょう。

次回のコラムに、ご期待くださいませ!

 

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