まさにぃの折り紙コラム

折紙師範まさにぃのブログ。

金ピカ折り紙、フェニックスに成るまでの軌跡【後編】

f:id:masanii_origami:20200425165542j:image

神谷哲史作品集2より「フェニックス」、ついに完成です!

f:id:masanii_origami:20200425173709j:image

 

53cmのホイル紙にびっしりと折り筋を仕込んで、うねるような蛇腹を畳んでいった前回。
(2020/04/23)

masanii-origami.hatenablog.com

 

それから先は頭や翼、尾羽などのパーツを一気に仕上げました。

f:id:masanii_origami:20200425173345j:image

 

フェニックス制作記【後編】。

ホウキのように細長い物体が「鳳凰」に化ける様子を、どうぞご覧くださいませ!


☘️今日のトピック☘️

❶足の爪までリアルに!

❷ここにも「鶴の基本形」

❸やっぱり翼は難しい

❹意外とシンプルな尾羽


♦︎♦︎♦︎


❶足の爪までリアルに!

それではまず、両脚から。

無数に重なる蛇腹をバラして中割り折りすることで、指の基礎を作っていきます。

f:id:masanii_origami:20200425165651j:image

 

90°を4等分、22.5°になった指先をさらに沈め折りして、よりシャープに研ぎ澄ませる作業です。

当然ながら指は入らないので、爪楊枝やカッターナイフの背を使って正確なラインをなぞっていきます。

f:id:masanii_origami:20200425165726j:image

 

次に太もも・カカト。

通常の教育折り紙では、あまりの厚みに折ることができず「曲げる」になってしまいます。

ここを「折る」ことができるのは、ホイル紙などの薄い紙ならでは。

f:id:masanii_origami:20200425165807j:image

 

最後に、爪先をかぶせ折り。

鉤爪をグワッと開いたら、猛禽類のように迫力のある両足の完成です!

f:id:masanii_origami:20200425165836j:image


❷ここにも「鶴の基本形」

さて、お次はアタマです。

あらかじめ網目状に仕込んでおいた、紙のカドを使います。

f:id:masanii_origami:20200425171741j:image

 

基本的には22.5°がベースの規則的な構造なので、いわゆる「複雑系」に慣れている方には理解しやすいと思います。

(折れるかどうかは別問題です)


途中で、「ツルの基本形」の一歩手前、慣れ親しんだ形が現れました。

エンシェントドラゴンと同じですね。

f:id:masanii_origami:20200425171758j:image

 

そもそもパーツ自体が極小なので、爪楊枝を使ってチマチマと作業を進めていきます。

いつも額(ひたい)が裂けてしまうのですが、折らずに丸める事で乗り切りました。

f:id:masanii_origami:20200425171847j:image

 

クチバシを開いて、首まわりを整えたら、端正なお顔のできあがり。

f:id:masanii_origami:20200425171926j:image


❸やっぱり翼は難しい

個人的にフェニックスの最難関だと思っているのが、この「翼」です。

ガバッと開いて、意味の分からない畳み方をする工程102〜108。

ヒダを裏へ表へひっくり返し、ななめに広げていく工程176〜186。

埋め込まれたヒダを引っ張り出す工程188〜190。

 

今回こそは、一発で鮮やかに決めたい!

と意気込んだものの、またまた苦戦してしまいました。

左側で散々やらかしたおかげで、右側は比較的きれいに折れたのですが…

神谷氏の作品は、やっぱり一筋縄ではいきませんね。

でも、羽の先端をキッチリ尖らせたら、意外ときれいにまとまりました。

f:id:masanii_origami:20200425172053j:image

 

全体のシルエットがこちら。
鳥の丸焼きみたいですね。

f:id:masanii_origami:20200425172133j:image


❹意外とシンプルな尾羽

いよいよ最後は「尾羽」です。

一番目立つパーツであり、妥協せずエレガントに仕上げたいところ。

f:id:masanii_origami:20200425172725j:image

 

とても複雑そうに見えますが、実はけっこう単純なんです。

無数に連なるヒダの正体は、中割り折りの繰り返し。

根本から「前1・後1/2・前1・後1/2…」といった具合に、一定のパターンで折っていきます。

端まで到達したら、背側の両脇を立てて整えます。

f:id:masanii_origami:20200425172813j:image


あとは、自由に曲げればOK!

翼や頭などのパーツと比べると、非常に分かりやすい構造です。

多くの作例は前側に丸めている事が多いのですが、後ろに流して優雅に飛ぶ姿を表現しました。

f:id:masanii_origami:20200425173025j:image


♦︎♦︎♦︎


神谷哲史作品集2より「フェニックス」、いかがだったでしょうか?

【前編】【後編】の2回にわたりお付き合いいただき、ありがとうございました。

f:id:masanii_origami:20200425173402j:image


エンシェントドラゴンもしかり、過去に折ったことのある作品に再チャレンジするのは、なかなか有意義です。

自分のスキルアップを確かめるのはもちろん、当時を思い出して懐かしさに浸れるのもいいですね。

新しい作品の開拓と、過去の作品のおさらい。

どちらもバランス良く、楽しんでいきたいと思います。

 

www.origamihouse.jp