まさにぃの折り紙コラム

折紙師範まさにぃのブログ。

真っ赤なおなかがアクセント!「アカハライモリ」を黒&赤の両面折り紙で。

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フチモトムネジさんのアカハライモリを折りました。

出典は「切らずに一枚で折る 爬虫類・両生類折り紙」。

以前ご紹介した「ウーパールーパー」と同じ本です。
(2020/04/19)

masanii-origami.hatenablog.com


きれいな川の隅っこを探すと、たまに見つかるコイツ。

刺激を受けると、体を反らせて赤いおなかを見せるのが特徴です。

そう、このポーズがやりたかったんですよね。

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生き物好きな方なら、ご存知の方もいるのではないでしょうか。

 

素材は、クラサワの両面単色おりがみ。

「B15-03 あか/くろ」という、ドンピシャな色が見つかりました。

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それでは、1枚の紙が1匹のイモリちゃんになるまでの様子をお楽しみくださいませ。


☘️今日のトピック☘️

❶仕込みは「ルート分割法」で

❷蛇腹まみれの組み立て作業

❸赤色を出すマジック


♦︎♦︎♦︎


❶仕込みは「ルート分割法」で

まずは、縦横20等分の折り筋をつけるところからスタートします。

全体を5等分→それぞれを4分割というプロセスなのですが、今回はテキストとは別の方法をとりました。

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あじさい折りでおなじみの「ルート分割法」です。

正方形の一辺を、キッチリ正確に5等分することができます。

「斜め折り四段ピラミッド」で散々やったテクニックです。
(2020/02/29)

masanii-origami.hatenablog.com

 

アプローチは違えど、要は20等分できればOK。

ちなみに、足立区CAFE RICCOで折った「ブリュッセルワッフル」にも、同じ方法が使えます。
(2020/03/20)

masanii-origami.hatenablog.com

 

❷蛇腹まみれの組み立て作業

20等分の折り筋を仕込んだら、折り筋の向きを変化させながらパキパキと畳んでいきます。

ウーパールーパーにはない少々複雑な作業なので、慣れていない方は戸惑うかもしれません。

山折り・谷折り線をしっかり観察して、マス目を間違えないよう慎重に進めましょう。

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あじさい折りや昆虫などを折った経験があり、網目状のラインを泳ぎ回れる方なら、スムーズにできるはずです。

だんだん一枚の正方形が、ほっそりしたトカゲの形になっていきます。

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こうしたプロセスが見られるのは、折り手の特権。

いつ見ても面白いですよね。


❸赤色を出すマジック

トカゲのシルエットを裏返すと、おなかは真っ黒です。

ここからどうやって「赤いおなか」を出すのでしょうか?

 

パーカーのフードをひっくり返すように、紙を裏返すんです。

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中心の突起をベコッとへこませて、まわりを少しずつめくっていきます。

フチが引っ張られて破れやすくなるので、力をかけるのは最小限に。

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頭はちょっと窮屈ですが、シッポは周りを開いて負荷を分散させることができます。

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残ったおなかを外側に折り返せば…

あら不思議。

鮮やかな赤色が、一面に現れました!

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実はこのテク、部分的に裏面を使う場合には結構ポピュラーな方法です。

勝田恭平さんの「グリフォン」にも出てきます。
(2019/01/30)

masanii-origami.hatenablog.com

 

中級〜上級者向けの作品にはちらほら出てくるので、コツを覚えておくと便利ですよ。


♦︎♦︎♦︎

 

フチモトムネジさんの「アカハライモリ」でございました。

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私は高校生の頃に生物部に入っていたのですが、観察会で川の上流に行った際にコイツを見かけたことがあります。

実は先日折ったウーパールーパーも、部で何匹か飼っていたんですよね。

色々な生き物(人間含む)に囲まれて、楽しい3年間でした。

もう10年以上前の話ですが、当時を思い出して、懐かしい気分になりました。

 

金ピカ折り紙、フェニックスに成るまでの軌跡【後編】

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神谷哲史作品集2より「フェニックス」、ついに完成です!

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53cmのホイル紙にびっしりと折り筋を仕込んで、うねるような蛇腹を畳んでいった前回。
(2020/04/23)

masanii-origami.hatenablog.com

 

それから先は頭や翼、尾羽などのパーツを一気に仕上げました。

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フェニックス制作記【後編】。

ホウキのように細長い物体が「鳳凰」に化ける様子を、どうぞご覧くださいませ!


☘️今日のトピック☘️

❶足の爪までリアルに!

❷ここにも「鶴の基本形」

❸やっぱり翼は難しい

❹意外とシンプルな尾羽


♦︎♦︎♦︎


❶足の爪までリアルに!

それではまず、両脚から。

無数に重なる蛇腹をバラして中割り折りすることで、指の基礎を作っていきます。

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90°を4等分、22.5°になった指先をさらに沈め折りして、よりシャープに研ぎ澄ませる作業です。

当然ながら指は入らないので、爪楊枝やカッターナイフの背を使って正確なラインをなぞっていきます。

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次に太もも・カカト。

通常の教育折り紙では、あまりの厚みに折ることができず「曲げる」になってしまいます。

ここを「折る」ことができるのは、ホイル紙などの薄い紙ならでは。

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最後に、爪先をかぶせ折り。

鉤爪をグワッと開いたら、猛禽類のように迫力のある両足の完成です!

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❷ここにも「鶴の基本形」

さて、お次はアタマです。

あらかじめ網目状に仕込んでおいた、紙のカドを使います。

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基本的には22.5°がベースの規則的な構造なので、いわゆる「複雑系」に慣れている方には理解しやすいと思います。

(折れるかどうかは別問題です)


途中で、「ツルの基本形」の一歩手前、慣れ親しんだ形が現れました。

エンシェントドラゴンと同じですね。

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そもそもパーツ自体が極小なので、爪楊枝を使ってチマチマと作業を進めていきます。

いつも額(ひたい)が裂けてしまうのですが、折らずに丸める事で乗り切りました。

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クチバシを開いて、首まわりを整えたら、端正なお顔のできあがり。

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❸やっぱり翼は難しい

個人的にフェニックスの最難関だと思っているのが、この「翼」です。

ガバッと開いて、意味の分からない畳み方をする工程102〜108。

ヒダを裏へ表へひっくり返し、ななめに広げていく工程176〜186。

埋め込まれたヒダを引っ張り出す工程188〜190。

 

今回こそは、一発で鮮やかに決めたい!

と意気込んだものの、またまた苦戦してしまいました。

左側で散々やらかしたおかげで、右側は比較的きれいに折れたのですが…

神谷氏の作品は、やっぱり一筋縄ではいきませんね。

でも、羽の先端をキッチリ尖らせたら、意外ときれいにまとまりました。

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全体のシルエットがこちら。
鳥の丸焼きみたいですね。

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❹意外とシンプルな尾羽

いよいよ最後は「尾羽」です。

一番目立つパーツであり、妥協せずエレガントに仕上げたいところ。

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とても複雑そうに見えますが、実はけっこう単純なんです。

無数に連なるヒダの正体は、中割り折りの繰り返し。

根本から「前1・後1/2・前1・後1/2…」といった具合に、一定のパターンで折っていきます。

端まで到達したら、背側の両脇を立てて整えます。

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あとは、自由に曲げればOK!

翼や頭などのパーツと比べると、非常に分かりやすい構造です。

多くの作例は前側に丸めている事が多いのですが、後ろに流して優雅に飛ぶ姿を表現しました。

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♦︎♦︎♦︎


神谷哲史作品集2より「フェニックス」、いかがだったでしょうか?

【前編】【後編】の2回にわたりお付き合いいただき、ありがとうございました。

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エンシェントドラゴンもしかり、過去に折ったことのある作品に再チャレンジするのは、なかなか有意義です。

自分のスキルアップを確かめるのはもちろん、当時を思い出して懐かしさに浸れるのもいいですね。

新しい作品の開拓と、過去の作品のおさらい。

どちらもバランス良く、楽しんでいきたいと思います。

 

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金ピカ折り紙、フェニックスに成るまでの軌跡【前編】

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神谷哲史作品集2の「フェニックス」に挑戦中です。

作品集1の「エンシェントドラゴン」を折ったのは、つい先週のこと。

(2020/04/15)

masanii-origami.hatenablog.com

 

「道が険しいほど、後から見える景色は美しい」とはよく言ったもので…

あろうことか、また工程数200オーバーの作品に手を出してしまいました。

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今回は【前編】をお届け。

一枚の紙がどんどん畳まれていく様子を、じっくりご覧くださいませ。


☘️今日のトピック☘️

❶過去2回の軌跡

❷超ロングななめ仕込み

❸変則エキサイティング蛇腹


♦︎♦︎♦︎


❶過去2回の軌跡

フェニックスは、2013年・2017年に折った事がある作品です。


2013年は、黄色い模造紙。

エンシェントドラゴンと同じく、かなりの厚みになってしまったので、その処理に相当手こずった覚えがあります。

翼の造形が難解すぎて、かなりの部分を省略してしまいましたが、何とかバランスを整える事ができました。

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キレイに仕上がった足指は、特に気に入っているポイントです。

この作品は近所の図書館に寄贈したのですが、今でも窓口に飾っていただいています。


そして、4年後の2017年。

結婚する同僚カップルへ、記念品として贈ったものです。

使ったのは「グラシン紙」。

通常の半分くらいの薄さ(50kg)の透明感のある素材で、これを求めて銀座の伊東屋まで行きました。

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薄いのに丈夫なので折りやすく、2003年にできなかった翼をシッカリ仕上げることに成功しています。


❷超ロングななめ仕込み

さて、思い出話はこれくらいにして、早速始めましょう。

今回使ったのは、53cmのホイル。

過去2回のチャレンジでは1m近い紙を使ったので、半分くらいの大きさです。

でもまぁ、同じ紙でTemple Dragonも折れた事だし、何とかなるでしょう!

(2020/04/05)

masanii-origami.hatenablog.com

 

テーブルに乗り切らない大きさの紙を、バサバサと折っては戻し、折っては戻し。

全工程225のうち40は、折り筋の仕込みに費やします。

(274工程のエンシェントドラゴンより多いです。)

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そして、とんでもない量の蛇腹。

尾羽・足指・翼を作るための構造なのですが、縦横に加えて22.5°のナナメ方向にも折るという変態っぷりです。

重なった箇所がズレないよう細心の注意をはらいつつ、超ロングな蛇腹を作っていきます。

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やっとの思いで巨大な「せんす」をこしらえた後には、これまでの苦労に追い討ちをかける一言が。


「全部ひろげる」

はい、出ました。

「反対側も同じ」と並ぶ、挑戦者の心を折るパワーワードです。

かくして、もはや「それだけでも作品なんじゃないか」と思うほど、びっしり模様がついた正方形が出来上がるのでした。

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❸変則エキサイティング蛇腹

仕込んだら、それを組み立てにゃならん。

ナナメに付けた折り筋に沿って、「沈めるように段折り」をリピートしまくります。

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折り筋は超ロングなうえ、3方向に分散しているため、トリッキーな「うねり」が発生します。

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えげつないビジュアルですが、折るべきラインを見定めながら金ピカの迷路を泳ぎ回るのは、なかなか楽しいです。

角度によって光の反射が異なるので、キラキラがキレイですね。

作り途中にしか見られない貴重な映像を、お楽しみくださいませ。

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♦︎♦︎♦︎

 

はい、今日はここでタイムアップ!

現在の進捗は…


どーん

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棒です!

ホウキです!

ロケットです!!


しばらく長〜いシッポ(尾羽)はそのままに、脚や翼などを作っていきます。

ちなみにアタマの構造も、変則的な蛇腹がベースです。

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この時点でも何となく、鳥っぽいですね。

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さて、ここから各パーツを仕上げて、ハンサムな鳳凰に仕上げてみせましょう。

次回のコラムに、ご期待くださいませ!

 

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サンダース・ウーパールーパー・とらねこ 〜さくBさんの折り紙作品3連発〜

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YouTubeやブログ、Twitterなど、幅広いジャンルで活躍されている折り紙作家・さくBさんの作品をご紹介。

どれも一発でそれと分かる秀逸なデザイン。

紙の裏面を出す「インサイド・アウト」という技法が上手に使われています。

今回は、数ある作品の中から3つをチョイス!


☘️今日のトピック☘️

❶リアルで凛々しい「サンダース」

❷水槽のアイドル「ウーパールーパー

❸ちょこんとカワイイ「とらねこ」

❹過去の作品もご紹介


♦︎♦︎♦︎


❶リアルで凛々しい「サンダース」

ポケモンは151匹しか知らない私にとって、嬉しすぎるレパートリー。

体全体のバランスがとても良く、かわいさとカッコ良さが両立した素晴らしい作品です。

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この作品は、折り図がブログに公開されています。

sakusaku858.hatenablog.com

 

工程数は82。

15cmだとかなり小さくなるので、大きめの紙がオススメです。

私は24cmを使いました。


❷水槽のアイドル「ウーパールーパー

出ました!ウパちゃんです!

ピンク色のエラもしっかり再現されています。

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折り方はYouTubeにて。

見づらい箇所や、気をつけるポイントが、ペンを使って丁寧にアドバイスされています。


【折り紙】ウーパールーパー

 

前回、フチモトムネジさんのウーパールーパーを折りましたが、どちらも甲乙つけがたいですね。
(2020/04/19)

masanii-origami.hatenablog.com


❸ちょこんとカワイイ「とらねこ」

シマシマの背中がアクセントの、おすわり猫ちゃん。

今回ご紹介した中で、一番やさしい作品です。

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ちょうど「黄色・黒」の両面折り紙があったので、迷わず制作を決めました。

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折り方は、こちらもYouTube

たまに立体的な折り方が出てきますが、動画をしっかり見れば大丈夫でしょう。
※いったん削除されてしまったので、復活版を再度掲載します(2021.12.10)

www.youtube.com

顔の端がちょっと浮いたので、耳の方に寄せてアレンジしています。


❹過去の作品もご紹介

せっかくなので、今までに折ったさくBさんの作品と、テキストを紹介させていただきます。


オリガミプラネット

ユニコーン
(2019/04/16)

masanii-origami.hatenablog.com

 

パーフェクトオリガミライフ

プテラノドン
(2019/04/14)

masanii-origami.hatenablog.com

◯ベビードラゴン
(2019/02/01)

masanii-origami.hatenablog.com

カピバラ
(2018/11/27)

masanii-origami.hatenablog.com

◯ちょうちょ
(2018/11/23)

masanii-origami.hatenablog.com

 

パーフェクトオリガミライフは、「2」「3」も発売中です。

電子書籍ですぐに読めるので、ぜひチェックしてみてくださいね。

 

♦︎♦︎♦︎


「サンダース」「ウーパールーパー」「とらねこ」の3作品をご紹介いたしました。

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さくBさんの動画は、余計なBGMやキャプションが一切なく、淡々と(かつゆっくり丁寧に)作品が出来上がっていくスタイル。

私は黙々と作業したいタイプなので、普段YouTubeなどの動画をあまり観ないのですが、こうしたスタイルはとても気に入りました。

 

Twitterがなければ知り得なかった、作家さんとの縁。

これからも、大切にしていきたいと思います。

 

エラも手足も一枚で!「ウーパールーパー」の折り紙

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こんにちは、運動不足が深刻なまさにぃです。
堂々と外出できる日が、早く来るといいですねぇ。


さて、今日はウーパールーパーを折ってみました。

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きれいな白色と、愛らしい表情が大人気のアレです。

最近は、ペットとして飼う人も増えましたね。


出典は「切らずに一枚で折る 爬虫類・両生類折り紙」。

著者はフチモトムネジさんです。

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紙の裏面を活用する「インサイド・アウト」で、赤いエラもしっかり再現されています。

小さな手足もかわいいですね。


☘️今日のトピック☘️

❶カラー写真が満載!

❷他の作品も魅力的

❸生物トークを少々


♦︎♦︎♦︎


❶カラー写真が満載!

テキストは、全てのページがフルカラー。

折り図も、実際の紙を撮影した写真が使われています。


折り紙王子・有澤悠河さんの「カワ難おりがみ」みたいな雰囲気。

(フチモトさんのプライベートは載ってません)


写真折り図はクセがありますが、シーンごとの解説はかなり細かく丁寧です。

レベルは「中〜上級者向け」と言った印象でしょうか。

ウーパールーパーは、その中でも中くらいの難度でした。


ある程度の立体感覚が求められるので、初めての方には難しいかもしれませんが、「本格的にやり始めたい」「レベルアップしたい」といった方にはオススメの一冊です。


❷他の作品も魅力的

タイトルの通り、テキストには爬虫類・両生類がズラリ!

カメレオンなどのポピュラーな作品から、ヤドクガエル、アカハライモリなど、盛り沢山です。

ここまでマニアック種が載っている本は、なかなか珍しいですね。


また、テキストの最後には、本物そっくりな絵柄が切り抜けるページが付いています。

カラーコピーすれば、何度でも使えそうです。

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フィールドワークにも安心して行けないご時世ですが、ご自宅で「折り紙ビオトープ」を作ってみても良いかもしれませんね。

生き物好きなお子さんがいるご家庭に、一冊いかがでしょうか?


❸生物トークを少々

ウーパールーパーという名前は、いわゆる愛称みたいなもの。


和名では「メキシコサンショウウオ

スペイン語では「アホロートル(Axolotl)」

英名は「メキシコサラマンダー」

といいます。


本来の体は、オタマジャクシのような黒っぽい色をしています。

白い体をもつのは、色素を持たない突然変異のアルビノという個体です。

少し前に、真っ白なキリンがニュースになりましたね。

ちなみに、縞模様があるホワイトタイガーは、アルビノではありません。

 

もちろんこの現象はヒトにもあって、それをオープンにしている方もいらっしゃるようです。

最近よくニュースなどでお見かけするので、ご存知の方も多いのではないでしょうか。


話を戻すと、ウーパールーパーは「メキシコサンショウウオアルビノを指すことが多いようですね。

 

うん、そろそろ脱線はこれくらいにしましょう。

話を遺伝子まで広げたかったのですが、またの機会にということで。

 

♦︎♦︎♦︎


フチモトムネジさんの「ウーパールーパー」でございました。

ハイレベルな複雑系もいいですが、特徴をとらえたシンプルな作品も楽しいですね。

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背景に使った彩雲紙ですが、もともとはバラを折りたくて買っておいたもの。

そろそろ、何か作ろうかなぁ。

 

複雑系折り紙のエントリーモデル「前川悪魔」に初挑戦。

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「本格折り紙/Genuine Origami」より「悪魔」を折りました。

コッチの世界では、とても有名な作品です。

「これが折れたら上級者」と言った感じで、折り手のレベルを測る指標にもなっています。

考案者である前川淳さんの名にちなんで、「前川悪魔」と呼ぶのが一般的です。

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波打つ舌や鼻筋、5本の指までリアルに再現された作品。

それなのに、どこか憎めない丸っこいフォルムが良いですね。

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おぞましい雰囲気にしようと、彩雲紙を背景にしたのですが…

何だか、腸内細菌みたいになってしまいました。


☘️今日のトピック☘️

❶やっぱり上級者向け

❷前川デビル、粗相する

❸前川デビル、ビビる


♦︎♦︎♦︎


❶やっぱり上級者向け

用意したのは、24cmの教育折り紙。

推奨サイズは25cm以上ですが、まぁ何とかなるでしょう!

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折りはじめる前に、縦横の寸法のズレを補正します。

三角に折ると白いスキマが現れるので、そこを切り落とせばOK。

通常はここまで神経質にやる必要はありませんが、念のため。

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折り筋をびっしり仕込んだら、どんどん組み上げていきます。

「破れないように」など、所々で折り手への気遣いがあるのは、一般図書ならではの嬉しいところ。

終盤はかなりの厚みになりましたが、何とか完成させることができました。

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「えっ!?」と手が止まってしまうような難所は少ないので、じっくり観察すれば答えが見つかるはず。

ひとつ後のステップと見比べつつ、焦らず進めていきましょう。

今回は24cmで折りましたが、15cmで折る時には、ホイル紙などの薄い紙を使った方が良さそうです。


❷前川デビル、粗相する

つまづく事なく、無事に完成できたデビルちゃん。

ちっちゃくて丸っこい、可愛げのあるキャラクターになりました。

こういうの、遊びたくなるんですよね。

 

これは完成直前、工程130の時点なのですが…
どことなく、スネ夫くんに見えるのは私だけでしょうか。

とんがった口先とツリ目、華奢な手足も良い感じです。

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お菓子の小袋に飛びつく前川デビル。

キミ、甘党だったのか。

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そして、ふと目を離したら…

こ、こらっ!

我が家のリビングで、粗相するんじゃない!

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❸前川デビル、ビビる

調子に乗っておイタをかましたデビルちゃんに、良いモノを見せてあげる事にしました。

東京・足立区にある喫茶店「CAFE RICCO」。

www.cafe-ricco.info


店内の至るところに折り紙が飾ってあるのですが、壁には無数の前川悪魔が磔(はりつけ)にされています。

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ヤツらのように磔にされたくなかったら、大人しくしてなさいッ!


ヒイッ!!

と、慌てて封筒に逃げ込むデビルちゃんなのでした。

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♦︎♦︎♦︎


はい、茶番にお付き合いいただき、ありがとうございました。

真面目に折るのも、解説するのも大切ですが、たまにはこういう遊び心もあって良いかと思いまして。


先ほど登場した足立区CAFE RICCOは、ちょうど先月まで佐藤ローズの展示企画でお世話になりました。
(2020/02/25)

masanii-origami.hatenablog.com

(2020/03/08)

masanii-origami.hatenablog.com


早く騒動が落ち着いて、また美味しいコーヒーとワッフルをいただきたいものです。

 

折り紙のトライアスロン!?複雑系の代表格「エンシェントドラゴン」で、まさにぃの原点を振り返る

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神谷哲史作品集より「エンシェントドラゴン」を折りました。

いわゆる複雑系折り紙の中で、もっとも親しまれている作品ではないでしょうか。


使ったのは53cmのホイル紙。

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所々に苦戦の跡がありますが、何とか破綻することなく完成まで漕ぎ着けました。

細部の仕上げに限界はあったものの、堂々とした佇まいとバランス、生きているような表情を心がけました。

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バックショットが思いがけず神々しい雰囲気になり、とても気に入っています。

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エンシェントドラゴンは、私が本格的に折り紙をやり始める原点になった作品です。

当時の出会いと今までの成長を、思い返してみました。


☘️今日のトピック☘️

❶初挑戦は2007年

❷成長したこと、変わらないこと

❸折り紙のトライアスロン


♦︎♦︎♦︎


❶初挑戦は2007年

エンシェントドラゴンの存在を知るまでは、川崎ローズや、足が6本ある昆虫(佐藤直幹さんの「コガネムシ」など)のレパートリーが、私にとっての最上級でした。


高校1年の頃、とある先輩が「神谷哲史作品集」を紹介してくれたのですが、その際の衝撃は今でも忘れられません。


母親にせがんで4000円のテキストを買ってもらい、「白鳥離水」「黄色い鳥(チョコボ)」「天馬」などの作品に夢中でチャレンジしたのを覚えています。


エンシェントドラゴンに初挑戦したのは、2007年の9月。

使ったのは白の模造紙です。

当時の写真が、mixiに残っていました。

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2回目は2008年11月、大学2年生の頃。

今度は赤い模造紙です。

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記録によると、12時間半かかったそう(確か徹夜したような…)。


1メートル近くある模造紙とはいえ、厚みと紙の消耗はかなりのもので、相当苦労した覚えがあります。

8本のツノは、紙の厚みを「ねじり」でカバーしています。

我ながら、よく形にしたものです。


❷成長したこと、変わらないこと

当時は、目にするもの全てが未知のテクニック。

「何だこの折り方は!」

「できねぇ!」

と、いちいち立ち止まって悩みました。


特に、指先をつくる工程200-203。

ヒダを広げて、蛇腹状にたたみ直すシーンです。

ワケが分からず、あっちが破れ、こっちが破れ…と散々やらかしたのは、苦い思い出です。


あれから12年後の2020年、人生3回目の挑戦。

あれだけ苦戦した200-203を、意外なほどあっさりクリアする事ができたのは、自分でも驚いています。

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曲がりなりにも色々な作品を折ってきて、その経験が活きたのでしょうか。

成長が感じられて、とても嬉しかったです。


でも、当時と変わらず苦手なところも見つかりました。

それはズバリ、

「裏面が塞がった箇所をOpen sink」

指をづかいで折れ線を自在に操るには、まだまだ修行が足りないようです。


それと、

「厚みを調整しながらの段折り」

これは物理的な制約があるかもしれませんが…

当時と比べて色んな素材を入手しやすくなった事ですし、そろそろ積極的に探し回ってもいいのかもしれませんね。カラペとか雁皮紙とか。


❸折り紙のトライアスロン

延々と続く折り筋の仕込みと、鬼のような沈め折りの連続。

やっと乗り切ったと思ったら、「反対側も同じ」。

エンシェントドラゴンを完成させるプロセスは、泳・漕・走を制覇するトライアスロンのようです。

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まさに苦難の連続(「ならやるな」は禁句です)ですが、途中で見える景色はなかなか面白いんですよね。

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例えば、至るところに鶴やカエルの基本形が、そのままの形で出現する事があります。

下の写真は頭(ひたい)ですが、まさしくツルですね。

変則的な角度が、ほとんど使われていない証拠です。

ここまで複雑な作品でも、基礎的な構造の組み合わせである事が分かります。

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各パーツを作る前の、異形なフォルムも見どころ(?)です。

特に頭を作り始める前は、寄生獣みたいにハジけています。

毎回、ここで写真を撮りたくなるんですよねぇ。

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274工程を乗り切り、やっと完成!

…と、思ったら。
エンシェントドラゴンは、完成後の整形が際立って難しいのです。

手足の着地やポージングは、ほぼ折り手のセンスに依存します。

分厚く重なった手足、長く繊細なシッポ、薄くて乱れやすい翼。

中でも頭部は、特徴である8本のツノをはじめ、目や口元の作り込みに相当気を使います。

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幸い、そこそこ丈夫で薄いホイル紙を使ったので、パワープレーでそれなりの形に仕上げる事ができました。

4本の指は方向と太さを調整し、爪楊枝も掴めるリアルな手を再現しています。

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仕込み・組み立て・仕上げのトライアスロン

長い戦いを終えて、清々しい気分です!


♦︎♦︎♦︎


神谷哲史作品集より「エンシェントドラゴン」でございました。

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デザインの美しさもさることながら、折るたびに上達を実感でき、新たな課題にも直面する、とても深みのある作品です。

初めて折ったのは13年前。

13年後には、どんな気持ちで折り紙と向き合っているのでしょうか。


ところで。

小学生でもエンシェントドラゴンを折れる人がいるという事実を知ったのは、大人になってからの事です。

世の中は広いですね…

 

上には上がいる、折り紙の世界。

トップランナーになれる程の実力はありませんが、これからも精進していきたいものです。

 

www.origamihouse.jp

 

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