お題「#おうち時間」
メタリフェルホソアカクワガタ
/Cyclommatus metallifer
神谷哲史作品集2の作品に、立て続けにチャレンジしています。
前回:コトドリ/Lyrebird
(2020/05/19)
masanii-origami.hatenablog.com
前々回:ヤドカリ/Hermit Crab
(2020/05/17)
masanii-origami.hatenablog.com
今回も、素材は35cmのカラーホイル 。
使った色は、鮮やかなグリーンです。
エメラルドの光沢とクワガタのフォルムは、子供が大喜びしそうな組み合わせ。
定期講座で、キッズにお披露目するのが楽しみです。
☘️今日のトピック☘️
❶仕込みの際のひと工夫
❷沈め折りの洞窟
❸仕上げと撮影の楽しさ
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❶仕込みの際のひと工夫
仕込みの際に、ふと気付いたことがあります。
「紙の端から端まで折らない」というシーンでは、
①ちょっと手前で止める
②完全にピッタリの地点
③ちょっと先まで折る
このうち、③のパターンで折ると良いことが発覚しました。
理由はいろいろあります。
まず、他のラインを仕込む際の目印になること。
反対側からチラッと見える延長線が、意外に役立つんですよね。
それから、沈め折り(Open sink)がスムーズにできること。
どんどん構造が複雑になっていく中盤で、①のように折り筋が足りないと、この段階で新しい線を追加するとズレやすいんですよね。
カドをバッサリ分断するラインがあると、正確に折る助けになってくれます。
あらゆるシーンで③が適当とは限りませんが、この方法に助けられた経験はたくさんあります。
複雑系作品にチャレンジする際には、ぜひお試しください。
❷沈め折りの洞窟
複雑系の作品には、よく「沈め折り」がたくさん出てきます。
閉じた構造をガバッと開き、内側を凹ませて(沈めて)戻すという、立体的な折り方です。
これを発展させたのが、内部を蛇腹状にたたむ、いわゆる「沈めるように段折り」。
パーツをより細く、より多層に作りかえることができます。
今回のクワガタや前回のコトドリで頻発するのですが、いつも例外なく難しいんですよね。
難度はえげつないのですが、ホイル紙で展開する沈め折りは、光の反射がとても綺麗です。
濃い緑色がキラキラ輝く様子は、まるで宝石のようですね。
このエメラルドを凝視しすぎると、洞窟に迷い込んだような気分になります。
こう書くとメルヘンですが…転んで(=破いて)遭難(=失敗)しないように必死です!
❸仕上げと撮影の楽しさ
沈め折りの洞窟から何とか生還し、やっとの思いで全工程をクリアしました。
このあとは、昆虫らしい曲線を出すために、細部を入念に仕上げます。
仕上げ(整形)はほとんどの場合、テキストに大まかな説明があるだけで、完全な正解はありません。
微妙な指づかいとセンスが求められますが、逆にいうとアレンジも自由。
カーブひとつで雰囲気がガラリと変わるので、時間をかけるほど「自分好み」になっていくのが楽しいです。
特にメインの大アゴは、メタリックな光沢と、筋肉質な凹凸を強調したつもりです。
そして、やっぱり楽しみは「撮影」です。
初めから決めていたタントのN-10を背景に、色々な角度からベストショットを探します。
手に持ってみたり。
裏返してみたり。
ピアノの上に乗せて反射させ、シルエットを演出したりもできます。
ちなみに撮影はすべてiPhone8、場所も家の中。特殊なものは何も使っていません。
アイディア次第で「 #おうち時間 」を豊かにする方法は、いくらでもあります。
皆さんもぜひ、こうした機会に折り紙を楽しんでみてはいかがでしょうか。
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神谷作品作品集2「メタリフェルホソアカクワガタ」でございました。
いやぁ、難しかった。
昆虫は折り紙でも本当にポピュラーな分野で、ありとあらゆる種類のムシが題材になっています。
トップランナー達がしのぎを削る複雑系から、初心者や親子向けのやさしいテキストまで。
紙をカットしたり、2〜3枚組み合わせる作品もあります。
本屋で、ネットで、SNSで。
お気に入りの一冊に出会えたらいいですね。