川崎敏和「折り紙夢WORLD」より「巻き貝」を折りました。
4つのカドを「らせん」のように組んでいく、面白い折り方の作品です。
テキストはこちら。
らせんを組んだ後は、ギリギリと上向きにねじっていくのですが、どうしても先端が少しほどけてしまいます。
綺麗に組めたと思っても、時間の経過とともにほどけていることも。
気になる方は、裏側にノリをつけたままグリッとねじると、いい感じに固まります。
手が汚れますが、洗えばいいんです。
さて、話は変わりますが…
昨日ご紹介した、あじさい折り「キューピッド」が、どうしてもクリオネにしか見えません。
また、12月10日のコラムで「生物の進化」の話をしてから、どうもそっちのジャンルを喋りたい今日このごろ。
masanii-origami.hatenablog.com
巻き貝→クリオネ→軟体動物の進化
ということで、今日も生物トークをしていきましょう。
❶殻を持たない貝のなかま
❷退化は「進化」である!
❸他にもある「捨てる進化」
では、どうぞ。
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❶殻を持たない貝のなかま
貝といえば、硬くて丈夫な貝殻を想像しますが、世の中には貝殻をもたない生き物がいます。
例えば、「タコ」。
貝と同じ「軟体動物門」の「頭足類」というジャンルの生き物です。
長い進化の過程で貝殻を捨て、現在のような柔軟で強靭な体を手にしました。
ちなみに、タコを解剖すると、透明な針状の物体が見つかります。コレが貝殻の名残です。
あとは、前回のコラムでも触れた「クリオネ」。
正式名は「ハダカカメガイ」といい、こちらも貝と同じ「軟体動物門」の生き物です。
❷退化は「進化」である
これらの生き物は、よく「貝殻が"退化"した」と言われます。
しかし、最近の生物学では、あまり「退化」という言葉は使われません。
「不要なパーツを捨て、エネルギーを別のところに使う」 といった、前向きな考え方が主流です。
全ての変化は「後退」でなく、「前進」である
というわけですね。
何かのパーツを作るためには、多くの材料が必要です。
さらに、それを維持していくためにも材料とエネルギーが欠かせません。
タコやクリオネなどの軟体動物は、「頑丈で安全な貝殻」の代わりに、「身軽さ・柔軟さ」を獲得したと考えることもできます。
その方が、生き残りやすい環境だったのでしょう。
もっと身近な話に例えると…
我が家はテレビがありません。
毎月の通信費とNHKの受信料を計算したら、1年で7万円くらいかかるんです。
夫婦ともテレビをあまり観ないのに、10年で70万円…これはでかい!
ということで、友人にあげちゃいました。
ボーッとテレビを観る時間を有効に使えるし、嫌な情報や偏見的な思想も入ってこない。
毎日は、とても快適です。
家からテレビがなくなるのは「退化」ではなく、ライフスタイルが「進化」したと考えています^^
❸他にもある「捨てる進化」
話を生物トークに戻しましょう。
軟体動物に限らず、「何かを失う進化」は、あらゆる生き物にみられます。
地中で暮らすモグラは、目がほとんど見えない代わりに、 非常に優れた嗅覚をもっています。
その感度はヒトの数十倍ともいわれ、 獲物の方向まで嗅ぎ分けることもできるそうです。
また、ヘビは進化の過程で手足を捨て、 体をくねらせる移動方法を獲得しました。
不便そうに見えますが、素早い移動も、木登りも上手。
また、細い場所にも自在に入り込むことができます。
(災害用ロボットへの応用も期待されています)
もっと広く考えれば、生物は、常に取捨選択を繰り返して生き残ってきました。
生存競争は甘くありません。
退化が「損」な出来事であるなら、タコやクリオネ、モグラやヘビは、とっくに絶滅しているでしょう。
私たちヒトも含め、現在地球上に暮らす全ての生き物の形態は、例外なく「進化」の賜物なんですね。
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はい。
今日も折り紙と全く関係ない話でしたが、こういうのもたまにはいいでしょう。
私のコラムをきっかけに、少しでも「生物(もっと言えば自然科学全般)って面白い!」と思ってくれれば幸いです。
次は何の話をしようかな。
久しぶりに宇宙トークでもしようか…