まさにぃの折り紙コラム

折紙師範まさにぃのブログ。

「まさにいメソッド 」で、「あじさい井桁・詰め(5×5)」を作りました。その苦労話と、黒い紙を使った理由を語ります。

斜め折り四段ピラミッドを変形させて井桁を作る#まさにいメソッド で、あじさい井桁・詰め(5×5)を作りました。

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黒の教育折り紙(15cm×15cm)を使ったのですが、あじさいというより甲冑のような質感になりました。

第一印象は「ベルセルク」。


作った感想。超しんどい。
3×3は結構サクサク作れたんですけどね。これはマジしんどい。

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まず仕込み。縦横32等分、斜め64等分が果てしない。4方向のラインがすべて交差するポイントは最終的に961箇所できるのですが、ズレないようにいちいち気にするのは相当MPを使います。

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この段階ですでに綺麗な模様ができていたので、一瞬これでやめようかと思ってしまいました。いやいや、Instagramで井桁作る宣言しちゃったし、やるっきゃない。


そして、組み立てに入ります。
私は職場の握力測定で新記録出すくらいマッチョな手をしているので、細かい箇所は指が全く入りません(折り線のプレスは得意)。この手だけで約3.3mmの極小花びらを100枚こさえるのは、スコップで味噌汁を飲むくらい無謀なので、アシスタントの爪楊枝くんを召喚します。


ただし彼は尖り過ぎてるので、ひとつ間違えると相手を傷つけてしまいます。幸い彼には丸くて優しい面もあるので、そっち(柄の方)を使います。あの丸みが丁度良いんですよねー。

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しばらくすると、だんだん飽きてきます。やってる事は結構複雑なのですが、つぶし折り→引き出し折り→カドを変える→つぶし折り…という作業を無限に繰り返すので、だんだん自分が何を作っているのか、何のためにコレをやってるのか、自分が誰なのか、ここはどこなのか分からなくなってきます。そして一息つくと、異常なまでに肩が凝っています。


終盤に差し掛かると、新たな問題に直面します。

そうです、手汗です。私は体質的にほとんど手汗をかかないのですが、今回は久しぶりに「ジワッ」としました。ここまできて紙を湿らせるのはマズイ。ただでさえ酷使した紙がさらにクタクタになってしまう。


こういう時には、手が紙に触れる面積と時間を最小限にすると良いです。「ギュッと」でなく「サッと」という感じ。あとは、上着を脱ぎましょう。さらにトイレに行けば完璧。あ、手はちゃんと拭きましょうね。


そんなこんなで、やっと完成した作品。まるで登山を終えたような達成感です。

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私より先にこの「井桁5×5・まさにいメソッドVer.」を成功させた @napos.world さんが「当分は3×3で…」とおっしゃった意味が分かった気がします。私もマジ疲れました。お腹いっぱいです。


さて、苦労話はこれくらいにして、最後にロジカルな話をひとつ。


私が黒い紙を使ったのは、単にカッコいいからという理由がもあるのですが、一番の理由は、他のどの色よりも強度が高いからです。


「まさにいメソッド」はとても便利ですが、難点は紙の負担が大きいことです。紙を何度もひっくり返すので、終盤には外側の紙がかなり弱ってしまいます。


メーカーによって異なるので一概には言えませんが、黒に限らず色の濃い紙は、染料がふんだんに使われているため、色の薄い紙と比べてしっかりしてしています。両者を水平に持つと分かるのですが、色の薄いほうがペロンと垂れ下がります。また、紙の繊維に染料がたくさん浸透しているため、酷使しても色落ちしづらいのです。それでも今回は先端が白くなってしまったのですが、弱い紙で作ったらもっとヨレヨレになっていたことでしょう。ただし、厚みも増すので注意が必要です。


素材を選ぶ時は、紙そのものの材質だけでなく、色の違いからくる紙質の違いも意識すると面白いです。皆さんお気付きの際は、ぜひ検証してみてください。