まさにぃの折り紙コラム

折紙師範まさにぃのブログ。

まさにぃ久々の失敗 〜神谷哲史作品集3「カマキリ」の前に散る〜

お題「#おうち時間

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神谷哲史折り紙作品集3

カマキリ/Praying mantis


結論から言うと、まったく歯が立ちませんでした!!

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全271の工程をなぞるだけで手一杯になり、細部の仕上げどころではない事態に。

悔しいので、すぐさまリベンジしたいところですが…

こういう経験も、一つの財産です。

全部記事にしちゃって、これから挑戦する誰か(私も含む)の糧になってもらいましょう。


ああ、何て痛々しいサブタイトル…

☘️今日のトピック☘️

❶いきなり紙をムダにする

❷久しぶりに紙をやぶく

❸完成はしたものの…


♦︎♦︎♦︎


❶いきなり紙をムダにする

意気揚々と折り始めたところ、いきなり失敗しました。

原因は工程21。

目印になるポイントを間違えて、折り線がズレたまま進めたことが発覚!

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気付いたのは、工程35-36あたり。

「あれ、6等分になってないぞ…」

あわてて折り直すも、既存の線があまりにも紛らわしく、思い切って断念することに。


100m走で、スタート直後に靴ヒモを踏んづけて転んだ格好です。

ここ数年なかった途中放棄。

早くも暗雲が立ち込めるのでした。


❷久しぶりに紙をやぶく

気を取り直してテイク2です。

実はまた工程21を間違えた(!)のですが、早く気付いたので見なかったことにしました。

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しかし、事件は起こりました。

工程80で、紙が破けたのです。

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原因は、沈め折りのOpen・Closedを間違えたこと。

ほとんどの沈め折りは「Open sink」なので、テキストをよく見ないままOpenでやってしまったんですよね。

「なかなか上手くいかないな〜」といじくり回していたら、見事に裂けてしまいました。


完全に不注意による見落としです。

さすがに再び作り直すのは心が折れそうだったので、セロテープで補強して再開することにしました。

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❸完成はしたものの…

これまた久しぶりの事態に見舞われ、諦めムードで進めていった工程80以降。

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何と完成まで漕ぎ着けましたが、所々は完全にごまかしです。

お恥ずかしいのですが、せっかくなので正面ショットをお披露目。


どーん!

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はい、顔ありません!!


気になる背面は…
どーん!

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はい、干からびたカマキリてす!


鎌(前脚)のトゲが再現できなかったのも、大きな課題です。
次回こそは、ちゃんと折ります!


♦︎♦︎♦︎


神谷哲史折り紙作品集3「カマキリ」を前に、無残にも敗れた(破れた)今回でございました。

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言い訳しても仕方ないので、気持ちを切り替えて次に行きましょう。


しっかし、それでも折り紙が嫌いにならないこは、不思議なものです。
次こそはバッチリ仕上げて、綺麗な写真とともにお届けいたします。お楽しみに!

 

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あじさい折りの季節を前に「まさにぃメソッド」をおさらい。

お題「#おうち時間

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4月・5月があっという間に過ぎ、桜や新芽をゆっくり眺める余裕もないまま終わってしまった気がします。

そろそろと、6月の足音が聞こえてきました。


今日の作品は「あじさい井桁・詰め」。

4枚1組が9個、計36枚の花びらが敷き詰められています。

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梅雨の風物詩であるアジサイは、折り紙でも人気のある題材です。

季節をちょっと先取りして、「あじさい折り」の世界をお送りいたしましょう。


☘️今日のトピック☘️

❶秘技「まさにぃメソッド」

❷彩雲紙×あじさい折り

❸5×5でもイケる!


♦︎♦︎♦︎


❶秘技「まさにぃメソッド」

あじさい井桁の作り方は、テキスト「あじさい折りおりがみ」に載っています。

「基本形Aを9つ同時に作ればOK」、という単純なものなのですが、なかなか簡単にはいきません。


そこで考案したのが、「カドを変える」という技術でピラミッドを変形させるアプローチ。

通称「まさにぃメソッド」です。

(2018/04/21)

masanii-origami.hatenablog.com

 

同書の「斜め折り四段ピラミッド」を裏向きに作りながら、特定のカドを変えていきます。

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最終的に、ピラミッド側が碁盤目になっていればOK。

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ひっくり返すと、あら不思議!

3×3の「井桁・詰め」が完成しています!

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山折り・谷折りのスイッチで紙を消耗しますが、従来の「合わせ折り同時進行」よりも誤差が出にくいため、しっかりキッチリ作ることができます。

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井桁に苦手意識がある方には、ぜひお勧めしたい方法です。


❷彩雲紙×あじさい折り

今回の素材は「彩雲紙 大理石」。

サイズは15.2cmです。

アカウミガメを折るためにカットした余りを使いました。
(2020/05/07)

masanii-origami.hatenablog.com

 

その名のとおり、完成品は大理石の彫刻のような仕上がりに。

以前セリアのマーブルで作ったときと似ていますね。
(2019/04/10)

masanii-origami.hatenablog.com

 

彩雲紙は「あじさい」というカラーもあり、過去にそれで「花折りピラミッド」を折ったことがあります。

こちらは、まさに梅雨の風物詩アジサイですね。
(2020/05/03)

masanii-origami.hatenablog.com

 

素材の絵柄よって雰囲気が変わるので、お気に入りの組み合わせを探してみてください。


❸5×5でもイケる!

3×3の井桁が作れるなら、5×5も作れるのではないか。


はい、理論上できます。

「まさにぃメソッド」を考案して間もないころ、同じことを考えました。
(2018/05/04)

masanii-origami.hatenablog.com

 

しかし、激ムズです!

縦横32等分・斜め64等分の仕込みをした時点でイヤな予感がしたのですが、途中で何度も心が折れかけました。折り紙だけに。

いや、15cmでやった私が悪いんですけどね。


もちろん、「カドを変える」という技術は、あじさい折りのあらゆる作品に応用できます。

模様のパターンを変えたり、ピラミッドの階段の流れを渦状にしたり、自由自在です。
(2018/01/25)

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(2018/02/03)

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一度コツを覚えると、リズミカルにポコポコできるので、色々遊びながら練習してみましょう。

 

♦︎♦︎♦︎


「まさにぃメソッド」を用いた「あじさい井桁」でございました。

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そういえば、あじさい折りの投稿がちらほらタイムラインに登場してきましたね。

今年も色々な作品に出会えるのが楽しみです。

 

最近は新しい作品にゴリゴリ挑戦するあまり、ちょっと肩の力が入り過ぎていた気がします。
おなじみの作品であるピラミッドは、いい息抜きになりました。

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何も考えずに、淡々と仕込みをやるのも、なかなか良いものです。

おうち時間も、バランスが大切ですね。

 

↑品薄なのか値段が高騰していますが、Kindle版なら定価で買えるようです。

 

 

大迫力の昆虫折り紙! メタリフェルホソアカクワガタ×グリーンホイル紙

お題「#おうち時間

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メタリフェルホソアカクワガタ
/Cyclommatus metallifer


神谷哲史作品集2の作品に、立て続けにチャレンジしています。

前回:コトドリ/Lyrebird

(2020/05/19)

masanii-origami.hatenablog.com

前々回:ヤドカリ/Hermit Crab

(2020/05/17)

masanii-origami.hatenablog.com

 

今回も、素材は35cmのカラーホイル 。

使った色は、鮮やかなグリーンです。

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エメラルドの光沢とクワガタのフォルムは、子供が大喜びしそうな組み合わせ。

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定期講座で、キッズにお披露目するのが楽しみです。


☘️今日のトピック☘️

❶仕込みの際のひと工夫

❷沈め折りの洞窟

❸仕上げと撮影の楽しさ


♦︎♦︎♦︎


❶仕込みの際のひと工夫

仕込みの際に、ふと気付いたことがあります。

「紙の端から端まで折らない」というシーンでは、


①ちょっと手前で止める

②完全にピッタリの地点

③ちょっと先まで折る


このうち、③のパターンで折ると良いことが発覚しました。

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理由はいろいろあります。

まず、他のラインを仕込む際の目印になること。

反対側からチラッと見える延長線が、意外に役立つんですよね。

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それから、沈め折り(Open sink)がスムーズにできること。

どんどん構造が複雑になっていく中盤で、①のように折り筋が足りないと、この段階で新しい線を追加するとズレやすいんですよね。

カドをバッサリ分断するラインがあると、正確に折る助けになってくれます。


あらゆるシーンで③が適当とは限りませんが、この方法に助けられた経験はたくさんあります。

複雑系作品にチャレンジする際には、ぜひお試しください。


❷沈め折りの洞窟

複雑系の作品には、よく「沈め折り」がたくさん出てきます。

閉じた構造をガバッと開き、内側を凹ませて(沈めて)戻すという、立体的な折り方です。


これを発展させたのが、内部を蛇腹状にたたむ、いわゆる「沈めるように段折り」

パーツをより細く、より多層に作りかえることができます。

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今回のクワガタや前回のコトドリで頻発するのですが、いつも例外なく難しいんですよね。

難度はえげつないのですが、ホイル紙で展開する沈め折りは、光の反射がとても綺麗です。

濃い緑色がキラキラ輝く様子は、まるで宝石のようですね。

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このエメラルドを凝視しすぎると、洞窟に迷い込んだような気分になります。

こう書くとメルヘンですが…転んで(=破いて)遭難(=失敗)しないように必死です!


❸仕上げと撮影の楽しさ

沈め折りの洞窟から何とか生還し、やっとの思いで全工程をクリアしました。

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このあとは、昆虫らしい曲線を出すために、細部を入念に仕上げます。

仕上げ(整形)はほとんどの場合、テキストに大まかな説明があるだけで、完全な正解はありません。

微妙な指づかいとセンスが求められますが、逆にいうとアレンジも自由。

カーブひとつで雰囲気がガラリと変わるので、時間をかけるほど「自分好み」になっていくのが楽しいです。

特にメインの大アゴは、メタリックな光沢と、筋肉質な凹凸を強調したつもりです。

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そして、やっぱり楽しみは「撮影」です。

初めから決めていたタントのN-10を背景に、色々な角度からベストショットを探します。


手に持ってみたり。

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裏返してみたり。

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ピアノの上に乗せて反射させ、シルエットを演出したりもできます。

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ちなみに撮影はすべてiPhone8、場所も家の中。特殊なものは何も使っていません。

アイディア次第で「 #おうち時間 」を豊かにする方法は、いくらでもあります。

皆さんもぜひ、こうした機会に折り紙を楽しんでみてはいかがでしょうか。


♦︎♦︎♦︎


神谷作品作品集2「メタリフェルホソアカクワガタ」でございました。
いやぁ、難しかった。

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昆虫は折り紙でも本当にポピュラーな分野で、ありとあらゆる種類のムシが題材になっています。

トップランナー達がしのぎを削る複雑系から、初心者や親子向けのやさしいテキストまで。

紙をカットしたり、2〜3枚組み合わせる作品もあります。

本屋で、ネットで、SNSで。

お気に入りの一冊に出会えたらいいですね。

 

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ミウラ折りの優雅な尾羽「コトドリ」に挑戦!

お題「#おうち時間

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神谷哲史作品集2

コトドリ/Lyrebird

大きな尾羽と、サイドの飾り羽が目を引く作品です。


最近は35cmホイル紙×複雑系のコンビに、すっかりハマってしまいました。

今回の素材は、水色のカラーホイルです。

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勝田恭平さんの「ユニコーン」と同じ色を使っていますが、全面に色が出ると雰囲気が変わりますね。
(2020/04/13)

masanii-origami.hatenablog.com

 

7年前にこのテキストを買ってから、初めての挑戦です!


☘️今日のトピック☘️

❶お洒落なモノマネ上手

❷実用的な「ミウラ折り

❸やっぱり難しい!


♦︎♦︎♦︎


❶お洒落なモノマネ上手

コトドリはオーストラリアの国鳥で、同国の10セント硬貨にもなっています。

体長の半分以上を占める尾羽は「竪琴(たてごと)に例えられ、名前の由来になっています。

英名の「Lyre」も竪琴のことです。


コトドリの雄は、このエレガントな尾羽を使って求愛行動をします。

面白いのは、それと同時に「鳴きまね」をすること。

他の鳥だけでなく、カメラのシャッターやチェーンソーの音などの人工音まで再現できるそうです。


本当はもっと地味な色をしているのですが、尾羽の構造がよく映えるようにライトブルーを使いました。

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それにしても、サイドの「飾り羽」まで再現されているのは、さすがの神谷作品です。


❷実用的な「ミウラ折り

尾羽にみられる規則的なパターンは、三浦公亮さんという方が考案したミウラ折りという構造が採用されています。

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ひとつの方向に力をかけるだけで、一気に全体を開閉することができる、とても効率の良い折り方です。

科学好きな方なら、一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。

人工衛星太陽光パネルを畳むのに、ミウラ折りが使われたことがあるのは有名な話です。

また、ミウラ折りで畳まれた地図を見かけたこともあります。


私の友人の多くは、私が飲み屋の箸袋を片っ端から折りまくるのを知っていると思います。

箸袋のサイズは、ミウラ折りをやるにはちょうど良いんですよね。

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ちゃんと教わればすぐに実践できる折り方なので、ぜひ皆さんもやってみてください。

 

❸やっぱり難しい!

ホイル紙の扱い方に慣れてきたので、工程数100ちょいのコトドリならサクッと折れるかな…

と、思ったら。

全然サクッと折れませんでした。


神谷作品名物、沈め折り地獄。

びっしり仕込んだクモの巣のような折り筋は、すべて沈め折り(Open sink)のためのもの。

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沈め折り単品ならともかく、問題はその形です。

非常に狭い空間で、大きな変則パーツを6段階に沈めるのは、容易ではありませんでした。

「こうしなさい」と普通に書いてありますが…

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普通、こうなりません!


それから、ミウラ折りの尾羽。

ミウラ折りは昔から散々やっているから、シッポは簡単かな…

と、思ったら。

全然簡単じゃありませんでした。

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ヒダの数が7列と多く、根元(背中)が開きづらかったので、予想以上の大苦戦。

所々で塗装がハゲて白くなり、穴が空いてしまいました。

うん、油断は良くないですね。


同じ折り筋を酷使する複雑系においては、切っては切れないこの問題。

紙をいたわる技術は、まだまだ課題が多そうです。


♦︎♦︎♦︎


神谷哲史作品集2「コトドリ」でございました。

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やっぱり一筋縄ではいきませんでしたが、大きな失敗なく完成できてよかったです。

2本の足でしっかり自立したのは、嬉しいポイント。

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鳥はやっぱり、こうでなくちゃ。


そういえば最近、折り方の解説やアドバイスができていませんね。

初挑戦の作品はいきなりウンチクを語れる代物ではないので、どうしても感想メインになってしまいます。


それでも、

「工程◯◯を乗り切るコツは?」

「撮影や加工は、どうやったの?」

などなど、もし質問があればお気軽に言ってくださいね。

分かる範囲で、惜しまずにお答えさせていただきます。

 

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折り紙1枚で貝殻も!神谷哲史作品集2の「ヤドカリ」にチャレンジ

お題「#おうち時間

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神谷哲史作品集2の「ヤドカリ」を折りました。

1枚の正方形から、オモテ側で本体、ウラ側で貝殻が折り出された作品。

左右で違う大きさのハサミや、顔の細部、貝殻のトゲまで、妥協なくデザインされています。

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使用したのは、トーヨーの創作専科折り紙。35cmホイル紙の「オレンジ」です。

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鎧のような体と、メタリックなホイルの質感が、良い感じに調和してくれました。


☘️今日のトピック☘️

❶2年越しのチャレンジ

❷多大なるホイル紙の恩恵

❸カラチェンして「サザエ」を折る


♦︎♦︎♦︎


❶2年越しのチャレンジ

この作品を最後に作ったのは、2018年のこと。ちょうど2年前です。
(2018/04/29)

masanii-origami.hatenablog.com

 

当時はまだ大きなサイズの紙を持っておらず、24cm教育おりがみを使っていました。

今になって考えると無謀ですが…

まぁよく、それなりの形にまで仕上げたものです。


あれから2年、私も少しはレベルアップできたのでしょうか。

「いつか薄い紙でリベンジします」と宣言していたので、約束を果たせて良かったです。

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当時の記事の中で、

「24cmの教育おりがみでも、スキル次第でちゃんと作れるのでしょうか」

とか言っていますが…


2年前の私に言いたい。

つべこべ言わず、デカイ紙を買いなさい。


❷多大なるホイル紙の恩恵

薄くて密着感のあるホイル紙は、複雑な作品を折るのに最適です。

工程79・102に出てくる「もみじの葉」のようなOpen sinkも、何事もなかったかのようにピッタリ閉じてくれます。

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また、枚数を重ねたままボキッと折ることができるのは、薄いホイル紙だからこそ。

工程130-135の、ハサミや触覚の位置を確定させるシーンは、普通の紙では物理的に折れません。

特に触覚は、左右で紙の枚数が違うので、厚いと左右対象にならないんですよね。

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ホイル紙を扱うコツは、爪でしごかないこと。
塗装がはげて裏側の紙部分だけになり、もろくなってしまいます。

プレスする際は、指の圧力で「ギュッ」と押すようにしましょう。

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ホイルは破けやすいと言われますが、引っ張る力には強いです。

慣れてくると、「繊細」「大胆」をうまく使い分けられるようになりますよ。


❸カラチェンして「サザエ」を折る

ヤドカリの白い貝殻は、工程159で紙をひっくり返すことで現れます。

大きなオレンジ色のパーツが白くなる瞬間は、こちらの気分も変わるほど劇的です。

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折る人しか見られない貴重な光景なのですが、せっかくなので連続写真を撮ってみました。

 

これが…

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こうなって…

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こう!!

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さて、ここから貝殻を作っていきます。

実はこれ、「サザエ」がそのままくっついているんです。

しかも、同じテキストの作品。

すぐ前に折り方が載っています。

サザエ単体も50工程の代物なのですが、これだけでも素晴らしい作品です。
(2018/04/12)

masanii-origami.hatenablog.com

 

問題は、本体とサザエの接続部分が複雑なんですよねぇ。

かなりの厚みになったヤドカリの腰を「えいっ!」と折り曲げる必要かあります。

サザエができたら、今度はサザエを潰さないように、ヤドカリの脚やハサミ、触覚や顔の細部を仕上げていきます。

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オーラスの全体整形も、なかなかテキスト通りにはいきませんでした。

ヤドカリの厚さと、貝殻の薄さのバランスは、簡単には調和してくれません。

何とかソレっぽくなるようにいじくり回し、彩雲紙「あじさい」をバックに撮影すれば…

めでたく、今回の作品の完成です!

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♦︎♦︎♦︎


神谷哲史作品集2より「ヤドカリ」でございました。

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完璧とはいきませんでしたが、2年越しのチャレンジにして、やっと納得のいく形になって嬉しいです。

工程数229の長丁場を、コツコツ頑張った甲斐がありました。

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このテキストは書店に売っていないので、興味のある方は「おりがみはうす」のオンラインショップを覗いてみてください。

書籍だけでなく、大きなサイズの折り紙も売っているので、要チェックです!

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折り紙のルールは世界共通!Xiaoxian HUANGさんの「日月星辰」にチャレンジ

お題「#おうち時間

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日月星辰/Sun, Moon & Stars

Xiaoxian HUANGさんという、中国の方が考案した作品です。

太陽と星、空が1枚の正方形からデザインされています。

日本語では「じつげつせいしん」と読む、太陽・月・星・星座を表す言葉です。

 

昨年夏に参加した「第25回折り紙探偵団コンベンション」の講習作品。

本人指導のもとで折りたかったのですが、残念ながら受けそびれてしまったんですよね。

幸い、会場で買った折り図集に、作品がそのまま掲載されていました。

一年近く経ってしまいましたが、折ることができて嬉しいです!

 

☘️今日のトピック☘️

❶折り紙の「共通言語」

❷まさにぃ、失敗する

❸心機一転の2個目


♦︎♦︎♦︎


❶折り紙の「共通言語」

コンベンションの折り図集は、「国内編」「海外編」の2部構成になっています。

海外から寄せられた22作品のひとつが、今回の「日月星辰」です。

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「海外編」の解説はすべて英語なのですが、折り方の記号は世界共通。

英語を読めなくても進めることができます。

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◯山折り・谷折りの線

◯回転や裏返しの記号

◯折る順番の説明(繰り返しなど)


皆さんの本棚にあるテキストにも、大抵こうしたルールが載っているはず。

これを知っていれば海外の作品も折れるようになるし、世界中の人が同じ折り図を読めるようになります。

音楽でいう「譜面」のような存在です。


初心者の方で「折り方が分からない」とお悩みの際は、もう一度ルールを見直してみましょう。

これらを覚えると、グッと理解が深まりますよ。


折り図そのものについては、過去にもコラムを書いています。

良かったら参考にどうぞ。
(2018/10/24)

masanii-origami.hatenablog.com

 

❷まさにぃ、失敗する

前章で「ルールを覚えると、理解が深まる」なんて言っておきながら…


やはり、難しいものは難しいんです!

工程数119と、(複雑系にしては)標準的なボリュームですが、立体構造がけっこう難解です。

あとは、やはり外国の方のニュアンスは、日本人のそれと少し異なるのでしょうか。

図のアングルや、矢印の使い方に少々クセがあり、何かと手こずりました。

やっぱり、言葉でちゃんと説明があった方が分かりやすいですね、うん。

 

そして、致命的な間違いが!

実はこれ、最初に作ったのは金色ホイルなんです。
金ピカの太陽をしたかったのに、なんと裏表を反対に作っていました。

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こんなに大胆なミス、久しぶりです。


❸心機一転の2個目

完全に失敗に終わった1回目。

こうなったら、コイツを徹底的にいじくり回して、分析してやろう。

その後の工程を大雑把に進めてみたり、分解してみたり。

一応最後の方まで進めてみた結果、色面は最後にフラットになる事がわかりました。


2枚目は、心機一転カラーチェンジ。

紺色のホイルを使うことに。

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やはり、2回目は1回目と違ってサクサクいけます。

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実験台のおかげで、難しかった「星」も比較的スムーズに乗り切ることができました。

(開き方はアレンジしています)

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金ピカの太陽は実現できませんでしたが…
大きな白い太陽と、4つの星。

紺色の夜空も、なかなか良いものですね。


♦︎♦︎♦︎


Xiaoxian HUANGさんの「日月星辰」でございました。

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意図せず発生した「おうち時間」ですが、山のようにある未読のテキスト・未挑戦の作品に手をつける良い機会になっています。


今回のテキスト「第25回折り紙探偵団コンベンション折り図集Vol.25」は、本屋に売ってないマニアックな本ですが、おりがみはうすの公式HPから買うことができます。

前回ご紹介した、えずのさんの「ゴディバ」、低地さんの「タコ」も、同書の作品です。
(2020/05/13)

masanii-origami.hatenablog.com

(2020/05/11)

masanii-origami.hatenablog.com

 

興味がありましたら、ぜひチェックしてみてくださいね。

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老舗チョコのロゴマーク「ゴディバ夫人」を折り紙で!

お題「#おうち時間

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チョコレートブランドゴディバロゴマークを折りました。

馬にまたがる裸婦、ゴディバ(ゴダイヴァ)夫人です。

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紙の裏面を活用する「インサイド・アウト」により、馬と人が一枚で折られた作品。

出典は「第25回折り紙探偵団コンベンション 折り図集Vol.25」、考案者はえずのさんです。

 

ゴディバのチョコは大好きですが、ロゴマークを折るという発想はありませんでした。

(そもそも、ロゴを観察したことすらありませんでした)

こういうユニークな作品、大好きです!


☘️今日のトピック☘️

ゴディバ夫人のはなし

❷悩んだ最後の仕上げ

❸まだある「繋がった系」


♦︎♦︎♦︎


ゴディバ夫人のはなし

ご存知の方もいらっしゃると思いますが、まずはモチーフの説明から。


(以下、公式サイト意訳)

舞台は11世紀の英国。

コベントリーの領主・レオフリック伯爵は、修道院の建設などのため、領民に重税を課すようになりました。

貧しい領民のことを思い、それに抗議をしたのが、伯爵の妻であるゴディバ夫人(=レディ・ゴディバ)です。


度重なる議論に疲れた伯爵は、レディ・ゴディバにこう告げます。

「一糸まとわぬ姿で馬に乗り、町中を廻れたのなら、税を引き下げて増税を取りやめよう」


レディ・ゴディバは、翌朝にそれを決行します。

すると領民たちは、その行いに敬意を表し、裸の彼女の姿を見ないよう、みな窓を閉ざしたのです。

そして伯爵は約束を守り、ついに税は引き下げられたのでした。

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❷悩んだ最後の仕上げ

テキストでは、ゴディバ夫人の手足などが簡略化され、シンプルなつくりになっています。

今回は、ちょっと細部をアレンジ。

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足の先端を段折りして足先を作り、全体を細くしました。

(本来は靴をはいていなので、蛇足だったかもしれませんね…)

手は内側をめくって曲線にする事で、立体感を出しています。

 

馬は全体をふっくらさせていますが、手足はあえて作り込まず、オリジナルのままにしました。

馬がシンプルな方が、ゴディバ夫人に目線が行きやすくなります。

えずのさんは、そんな所も考慮してデザインされたのかもしれませんね。

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折り紙において、全てのパーツを精巧に再現する必要は、必ずしもありません。

特徴を最小限かつ的確にとらえたデザインは、故 吉澤章氏の作品などによく見られます。
(2018/02/13)

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シンプルなのに一発でそれと分かり、暖かみさえ感じられるのが、折り紙の不思議なところですね。


❸まだある「繋がった系」

一枚の正方形から2つ以上のものを折り出した作品は、他にもあります。

私自身ではあまり折った経験がないのですが、せっかくなので何点かご紹介いたしましょう。


神谷哲史作品集「白鳥離水」

フラットな水面と白鳥が一体になっています。

絵柄によって色々な水面を作れるのも、魅力のひとつです。
(2018/07/07)

masanii-origami.hatenablog.com

 

神谷哲史作品集2「ヤドカリ」

ヤドカリの本体と貝殻が繋がっています。

同じテキストに載っている「サザエ」がそのままくっついているのが面白いところ。

本体はかなり複雑です。
(2018/04/29)

masanii-origami.hatenablog.com

 

結果的に、神谷さんの作品だけになってしまいましたね。

ちなみに、最近見かけた中で一番ヤバかった作品は、Bodoさんの「Eating mantis」です。


コオロギを捕食するカマキリ。

変態すぎて言葉が出ません。

 

他にもたくさんのマニアックな作品が発表されていますが、まだまだ一般には知られていないものも多いです。


地域の講習会などに作品を持っていくと、

「何だこれは!」

「一枚なの!?」
子供・大人を問わず、こんなリアクションをいただきます。

折り紙の新しい世界を知ってもらえるのは、いつになっても嬉しいものです。


♦︎♦︎♦︎


えずのさんの「ゴディバ」でございました。

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馬だけでも綺麗なのに、そこにブロンドの女性を合わせるなんて、なんて素敵な作品なんでしょう。

折り紙の楽しさが、また一つ広がりました。


ふと思い出して、過去に折った「馬系」の作品を並べてみました。

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◯左上:神谷哲史さん「天馬」
(2020/05/09)

masanii-origami.hatenablog.com


◯左下:勝田恭平さん「ユニコーン
(2020/04/11)

masanii-origami.hatenablog.com

(2020/04/13)

masanii-origami.hatenablog.com

 

◯右下:さくBさん「ユニコーン
(2019/04/16)

masanii-origami.hatenablog.com

 

同じ動物がモデルでも、色々なデザインがあるのが分かります。

どれも素晴らしい作品ばかりです。

ぜひ皆さんも、一度チャレンジしてみてください。

 

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