まさにぃの折り紙コラム

折紙師範まさにぃのブログ。

【至高のおりがみ】ポメラニアンの難関「下唇」を乗り切るポイント! 〜工程114-116を徹底検証してみました〜

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先日、あるフォロワーさんから、こんな相談を受けました。


ポメラニアンの『下唇』が、どうしてもできません


工程114-116の「中に押し込む」というシーンで、止まってしまったそうです。


ということで。
私も久しぶりに折ってみました!

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今日は、ポメちゃんの中でも一番の苦戦ポイントとも言える、「下唇」にフォーカス。

私なりに工夫していることを、できる限り言語化してみました。


❶外側からアプローチすべし
❷爪楊枝に頼るべし
❸あとはラストスパート!
では、どうぞ。


♦︎♦︎♦︎


❶外側からアプローチすべし
工程114では、4つの線が同時に記されています。


①顔のフチ・山折り
②顔のフチ・谷折り
③鼻先・山折り
④鼻先・谷折り
この順番で折っていくのがオススメです。


まず、「①顔のフチ・山折り」
根元に沿って反対側へ折るだけなので、分かりやすいと思います。
遮るものもないので、シッカリ折れるはず。

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次に、「②顔のフチ・谷折り」
テキストの◯に指を当てながら、①の山折りをつまむように折ると、ナチュラルに折れます。
(◯の位置は、裏側から指を押し当てると、自然に見つかります)

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そして、「③鼻先・山折り」
①②をやると、鼻先が浮いてくるので、押し付けるように凹ませます。
人差し指・中指・薬指で外側を支え、親指で押し付けるのがオススメです。
ある程度折れたところで、鼻先をつまむようにプレスします。

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最後は「④鼻先・谷折り」
①②③が崩れないように片手で支えながら、顔全体を下げるようにして、折り目を密着させます。
折る位置は、自然に決まります。

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これらの手順を両側ともやって、最後にしっかりプレスし直しましょう。


❷爪楊枝に頼るべし
工程116は、5段階に分解しました。


①突っ込む
②膨らませる
③折り目を直す
④押し込む
⑤たたみ直す
こんな感じです。


①外から膨らませるのは困難なので、頭(首)の後ろのスキマから爪楊枝を突っ込みます。

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②爪楊枝の丸みを使って、グリグリと膨らませます。
(先端は貫通する危険があるので、後ろの丸い方を使いましょう)


③工程114の折り目は、片方が谷折りになっています。
線が二重にならないように、山折りに直します。

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④V字の折り目が、端までしっかり付くように 折ります。
はじめは爪楊枝の後ろ、細かいところは先端で、なぞるように折るといいです。

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⑤上手く収束しない時は、たいてい顔のフチが浮いています。
工程114を繰り返すように、少しずつまとめていきましょう。

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❸あとはラストスパート!
工程114-116さえクリアしてしまえば、ゴールは目前です!


顔の細部と前足、そらからシッポをクルンとさせれば完成。

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やっぱりかわいい…

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ちなみに私は、仕上げに結構ノリを使います。
普通の折り紙だと、手足のあたりが開いてしまうんですよね。
爪楊枝にノリを付けて、スキマをちまちま接着しています。


でも、下唇はあんなに複雑なのに、しっかりロックされているのが不思議。
本当によく考えられた構造なんだと、しみじみ思います。


なお、今回は「下唇」にフォーカスした内容なので、あとの工程は割愛いたします。
ほかのポイントで分からないところがあったら、コメントなどで言ってくださいね。

あくまでも「私なりの正解」になりますが、精一杯アドバイスさせていただきます。

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本当の正解か分かりませんが、後ろの写真も参考にどうぞ。


♦︎♦︎♦︎


いかがだったでしょうか?
思いつくまま、私がやっていることを書いてみました。
少しでも参考になれば幸いです。


折ったことのない方には、何が何だかサッパリな内容だっと思いますが…
「ふ〜ん」程度に、マニアックな解説をお楽しみいただければと思います。


これから折ってみたい方、興味がある方。
ポメラニアンの出典は「新世代 至高のおりがみ」です。

最近の若手作家さんの、秀逸作品がズラリと並んだ、読み応えのあるテキスト。
ぜひ、チェックしてみてくださいね。

ポメラニアン」は、その中でも大好きな作品。一番多く折っている気がします。

当コラムを通して、たくさんの方に知っていただけたら嬉しいです^^

 

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全身のフォルムがかわいい! 〜川畑文昭折り作品集「ネコ」をポイント解説〜

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川畑文昭折り紙作品集の「ネコ」を折りました。


こういうネコ、折りたかったんです!
全身のバランスと、ふっくらした立体感が、とっても気に入りました。


ネコは形が似ている品種が多く、犬よりもバリエーションを出しにくいと聞いたことがあります。

ヨーダ」を折りたくて買ったテキストですが、いい出会いに恵まれました。

masanii-origami.hatenablog.com

ラジオで聴いた1曲が欲しくて、アルバムごと買って、別の曲も好きになるイメージでしょうか。
こうした巡り合わせも、折り紙の醍醐味ですね。


さて。
今日はポイント解説でございます。
私が間違えたところ、それからアレンジ方法についてです。
❶まさにぃ、工程を間違える
❷アレンジその1:背中
❸アレンジその2:耳
では、どうぞ。


♦︎♦︎♦︎


❶まさにぃ、工程を間違える
サクサク順調に作っていたら、終盤の工程78でまさかのストップ。

簡単そうな動作なのに、なんか折れないな…
というか、折るべきカドがない!


テキストを遡ってみたら。
工程40の「上の2枚」という説明を見逃し、1枚だけ折っていだことが発覚しました。


完成間近のネコちゃんを分解して、大幅にやり直すはめに!


いつも生徒さんに「説明をよく読みましょう」と言っているのですが…お恥ずかしい限りです。

皆さんは、見落とさないよう気をつけてくださいね。


❷アレンジその1:背中
工程80で、背中を立体的にするシーン。
ここは最後まで、正解が分かりませんでした。


てっぺんは、尖らせる?寝かせる?
写真見本は真横からのショットなので、イマイチ判別できません。

尖らせたまま下部を平面にするのは、結構複雑な構造になりそうです。


1作目は、結局むりやり整形。
2作目は、自分なりにアレンジすることにしました。
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新しいV字の山折り線を付けて、そのまま平面につぶしています。
これで、シンプルに立体感を出せました。


無難にまとまったので結果オーライなのですが、本来の正解が気になるところ。
ご存知の方がいらっしゃいましたら、アドバイスいただけると嬉しいです。


❸アレンジその2:耳
テキストでは前、写真見本ではうしろを向いています。


1作目は、テキスト通り。
2作目では、ガバッと広げてみました。
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一番手前のヒダを広げると、白い裏面を出すことができます。
昔からある「うさぎ」の仕上げ方です。

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でも…何だかネズミっぽくなっちゃいました(灰色だし)。


正解が分からなかった「背中」は仕方ないとして、やはりテキスト通りに折った方が、全体的なバランスは良いですね。

川畑氏が色々なパターンを試したうえでの、今のデザインなのでしょう。


「作家さんは、何回も何回も試行錯誤して、作品を生み出し、折り図を書き上げています」


という、勝田恭平さんの話を思い出しました。

masanii-origami.hatenablog.com


やっぱり、作家さんは偉大です。


♦︎♦︎♦︎


というわけで、今日は久しぶりの1点もの、ネコちゃんのご紹介でした!


幼児でも作れる顔だけのネコ、頭と体で2枚使うネコ…

月刊おりがみ518号には「シッポ猫」なんて作品もあります。
(昨年11月11日に紹介)

masanii-origami.hatenablog.com


本当に色々な作品が、世の中に出ています。
折り紙に限らず、ネコちゃんが世界中で愛されている証拠ですね^^

今年のトレンドは「透かし折り紙」! 〜光の競演を楽しもう〜

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久しぶりに「川崎ローズ」。

ガラスの宝石がすっぽり収まったので、iPhoneのライトで透かしてみました。


川崎ローズの裏側は、カドを風車(段ボール?)のように閉じています。

中心に小さな穴が開くので、ちょうどそこから光が漏れるんですよね。

iPhoneの鋭い光が、目に優しい間接照明のような輝きになりました。

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さて。
最近のタイムラインでは、光を上手に使った作品が目立ちます。


今日の特集は「光」。
私が折った作品と、最後に個人的イチオシ作家さんをご紹介いたします。


あじさい折りは相性抜群
❷イチオシ作家さんを勝手に紹介
❸シルエットで魅せる!
では、どうぞ。


♦︎♦︎♦︎


あじさい折りは相性抜群
あじさい折りは、「透かし」に最も向いているジャンルではないでしょうか。


まさにぃメソッドで作った「井桁・詰め」を見てみましょう。

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キッチリ作ると、花びらの中心は八角星、間には十字マークが全ての箇所に現れます。

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花びらは「風船基本形」なので4枚。
いちばん薄い所は、土台のみの1枚。
紙の重なり方は、1枚・5枚・9枚のパターンしかありません。

この規則的な構造が、美しいな模様を生み出しているんですね。


テキスト「あじさい折りおりがみ」の掲載作品は、どれも光との相性バッチリです。

作品によって表情はガラリと変わるので、色々なパターンを試してみてください。


❷イチオシ作家さんを勝手に紹介
「透かし折り紙」といえばsywny さん。

instagram.com


タイムラインに並ぶ数々の「トランスパレントスター」は、目を疑うような美しさです。

光に透かすだけでなく、コースターや小皿、キーホルダーなどの小物まで作っています。
ほしい。

鮮やかで幻想的、それにどこか爽やかさも感じる色合いは、いつまで見ていたくなります。


それから、「絵柄×光×あじさい折り」といえば anemone_garnet1さん。

instagram.com


あじさい折りは絵柄がつぶれやすい(負けやすい)のですが、素材のチョイスが本当に上手です。

強めのコントラストが効いた絵柄は、まるでステンドグラスのよう。

あじさい折りが持つポテンシャルを、改めて感じさせられる作品の数々です。


ほかにもご紹介したい方はたくさんいるのですが…
キリがないので、またの機会にしましょう。

ぜひ皆さんも、 #透かし折り紙 #あじさい折り などのタグを探してみてください。


❸シルエットで魅せる!
光の演出が美しいのは、あじさい折りのようなパターン作品だけではありません。

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例えば、さくBさんの「プテラノドン」。
(1月16日に紹介)

masanii-origami.hatenablog.com


シルエットが美しい作品は、透かしても綺麗ですね。

翼の「骨」「膜」の影が、半透明になることで一層リアルに見えます。

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大きな翼を広げて、太古の空を翔ける姿は、まるで映画のワンシーンのようですね。


鳥やコウモリ、飛行機などの作品は、置いて飾るだけでは少し物足りない気がします。

たまには少し趣向を変えて、こうした撮り方をしてみてはいかがでしょうか。
吊るして飾ると、さらに長く楽しめますよ!


♦︎♦︎♦︎


というわけで、今日は「光」に関するコラムでございました。


いつもの作業机は飽きてきたな…
という方に、「透かし」はとってもオススメです。

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作品の隠れた魅力が、文字どおり「脚光を浴びる」かもしれませんよ^^

 

<テキスト紹介>

川崎ローズの出典「折り紙夢WORLD」

プテラノドンの出典「パーフェクトオリガミライフ」

折紙講師講習会、秘密だらけの参加レポ!

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前回の予告どおり、折紙講師講習会に行ってきました!

masanii-origami.hatenablog.com


昨年はうっかりネタバレしてしまったので、今年はその教訓を活かします。


ということで。
モザイクや(ピー音)を駆使して、雰囲気だけでも皆さんと共有したいと思います!
❶動く◯◯◯(ピー音)!
❷紙を×××(ピー音)する方法
❸新聞紙で作る△△△(ピー音)
では、どうぞ。


♦︎♦︎♦︎


❶動く◯◯◯(ピー音)!
まずは、こちらの作品から。

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パクパクする◯◯◯(ピー音)です。
昔からある、外国の作品。
簡単に作れて、動きがコミカルで面白い。
これはぜひ、今後のネタとしていただきます!


次に、伝承作品の***(ピー音)。

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作り方は知っていましたが、新しい楽しみ方を教わりました。
講座の序盤、アイスブレイクにぴったりです。


❷紙を×××(ピー音)する方法
次に習ったのはコレ。

紙を×××(ピー音)する方法は、昨年の講習会でも習ったのですが、こちらは違うアプローチです。


×××(ピー音)したあとに作ったのが、こちら。
カラフルな♢♢♢(ピー音)です!

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しかも、中に※※※(ピー音)が入るという優れもの。
サクッと作れるのも嬉しいポイントです。


❸新聞紙で作る△△△(ピー音)
最後にご紹介するのは、大きな紙で作る△△△(ピー音)。

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新聞紙だと指が汚れるので、きれいな和柄の包装紙を用意してくださいました。


丈夫なつくりなので、お子さんが扱っても安心です。


さっそく翌日の定期講座でやったところ、大人気!
いつもは各自で好きな作品を折っているのですが、珍しく全員が飛びついてくれました。


こうして講習の成果をすぐにシェアできるのは、嬉しいですね^^


♦︎♦︎♦︎


はい。
というわけで、読んでいる人には何が何だか全く分からないレポートになってしまいました。
決して手を抜いたワケではありません。


東京と大阪、それぞれ年1回行われる「折紙講師講習会。
師範を目指す方だけじゃなく、一般の方でも参加できます。

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(鮮明にお見せできるのはコレだけです、すみません…)


東京会場は毎年5月。
来年は「Aコース」です。
興味のある方は、ぜひ行ってみてくださいね。

 

<テキスト紹介>
「おりがみ4か国語テキスト100」

日本折紙協会の公式本。基本形や伝承作品が満載の良書です。
講師の方でなくても、あると便利な一冊。

【番外編】折紙講師講習会 ・2年目の受講を前に思うこと。

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明日は「折紙講師講習会」

日本折紙協会が主催する、講師向けのセミナーに参加してきます。


昨年の5月以来、1年ぶりのオフィシャルな講習。
どんな事が学べるのか、ワクワクです!

当コラムをご覧の方で、参加される方。
ご一緒した際にはよろしくお願いします。


ということで。
今日は作品紹介を一休みして、番外編をお送りいたします。
❶最低5年の修業!
❷今年は「Eコース」
❸一年前の思い出
では、どうぞ。


♦︎♦︎♦︎


❶最低5年の修業!
日本折紙協会には、講師の上に「折紙師範」という資格があります。
私がなりたいのはコレ。


「師範」になるには、
①正会員+講師歴10年以上
支部役員5年以上
③シンポジウムの参加7回以上
④講師講習会、全5コース修了


このうち1つが必須条件です。
それに、指導歴や論文などの審査が加わります。


私は特に役員などをやっていないので、私が目指すのは④。

講習会は年1回なので、最短でも5年かかります。


今年は、待ちに待った2回目。
道のりは長いですが、コツコツ頑張っていきます!


❷今年は「Eコース」
毎年変わる講習会のテーマ。
今年は、「指導法・地域活動のあり方、報告・研究論文のまとめ方」です。


本格的に活動を始めて、約2年ほど。
自分で講座を持ったり、セミナーなどにお呼びいただいたり。


お陰様で、本当に多くの方と折り紙を楽しむ機会に恵まれています。


でも、そういえば。
「教え方」「接し方」「手続き」などは、すべて独学・ワンオペでやっていました。


今回の講習をきっかけに、講師としてのあり方をしっかり見つめなおそうと思います。


❸一年前の思い出
昨年、初めての講師講習会に参加したときのことを思い出していました。
(昨年5月25日の記事)

masanii-origami.hatenablog.com


「折るスキル・教えるスキルは別」
「楽しんだもの勝ち」

などなど、昨年の自分が考える精一杯の発信をしていました。


忘れてはいけないのが、ネタバレで事務局からお叱りをうけた話。
(昨年5月31日)

masanii-origami.hatenablog.com


折り紙と著作権について、真剣に考えるきっかけにもなりました。


あれから1年。
環境の変化はあれど、折り紙に向き合う基本的な姿勢は変わっていません。


これからも、自分が楽しみ、多くの人に楽しんでもらえるよう、活動を続けていきます。

皆さんもそれぞれのスタンスで、折り紙を楽しんでくださいね。


♦︎♦︎♦︎


5月12日の、勝田恭平さんの教室。
そして今回の、講師講習会。

今月は珍しく、講習に参加することが多い月となりました。

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人から教わるのも、人に教えるのも、一人では得られない収穫がたくさんあります。


SNSで簡単に情報が手に入り、テキストもWebで簡単にポチれる時代。

だからこそ、これからもリアルな繋がりを大切にしたいと思っています。

【2023/05/30追記】
まさにぃは2023年5月1日、無事に折紙師範の資格を取得できました。
読者の皆様にはこの場を借りて御礼申し上げます。
今後もどうぞよろしくお願いいたします。

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「キモ鶴」と、折り紙の「角度」のはなし。

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前回は「3首鶴」「足付き鶴」、それからSNSに棲息する多数のキモ鶴たちをご紹介しました。
(5月20日

masanii-origami.hatenablog.com


写真とは対照的に、真面目な話をいたします。

今日は、「折り紙の角度」にフォーカスしてみましょう。


ベースとなる「折り鶴」の話とともに、キモ鶴について、もう少し掘り下げてみましょう。


❶「22.5°系」のはなし
❷中身はまったくの別物!
❸「偶数首」と「奇数首」
では、どうぞ。


♦︎♦︎♦︎


❶「22.5°系」のはなし
折り鶴は、きれいな「22.5°系」の形をしています。

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90°→45°(半分)→22.5(半分)

という具合に、正方形のカドを細くしていく構造です。
(頭とシッポは、さらに半分の11.25°)


世の中の作品には、この「22.5°系」がとても多いです。


紙を広げた展開図が「手裏剣」の形なるのが大きな特徴。

複雑な作品の展開図にも、至るところに「折り鶴の手裏剣」が見られます。


22.5°系の作品は、難度が高くても、素直に進めていける場合が多いです。

逆に、変則的な角度が多いものは、とたんに難しくなるイメージがあります。


❷中身はまったくの別物!
折り鶴は、「22.5°系」の中でも、とりわけムダがありません。


頭+羽2枚+シッポ
4つのカドを、中心から均等に細くしていく、非常に分かりやすい構造です。


しかし、キモ鶴たちはどうでしょう。

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まず「2首」。
頭2+羽2枚+シッポ
=必要なカドは5つ。
つまり、五角形を作る必要があります。


そして「3首」。
頭3+羽2枚+シッポ
=必要なカドは6つ。
こちらは、六角形を作ります。

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首の本数以外を「完璧な折り鶴」に見せるために、内側にはびっしりと細工がされています。

首の個数(カドの数)によって構造はガラリと変わるので、それぞれの作品は完全に別物です。


❸「偶数首」と「奇数首」
先ほどの説明でカンのいい方はお気付きかもしれませんが、


「2首」は、「3首」よりも構造が複雑です。


前述のとおり、「2首」のカドは5つ。
正方形から五角形を作るために、変則的な角度がいくつも仕込まれています。


一方で「3首」は六角形。
両側のカドを折れば、
90°・135°・135°・90°・135°・135°
という六角形になります。


どれも「22.5°」の倍数。
22.5°系として、意外とサックリ折ることができます。
(ただし、それでも難度は高め)


ちなみに「4首」になると、7角形。
構造はめちゃくちゃ複雑になります。
作れません。
展開図を見たことがあるのですが、解読できる気がしません。


「5首」は、八角形。
4の倍数なので、意外とシンプルです。
ただし、紙がかなり厚くなるので、違った意味で難度が高くなります。

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♦︎♦︎♦︎


というわけで、今日久しぶりに「理論派まさにぃ」でございました。


遊び心満点のキモ鶴ですが、その構造は折り紙の理論を結集させた「芸術品」だったんですね。


キモ鶴のキモさに圧倒されるだけでなく、こんな風にじっくり観察してみると、違った面白さがあります。


「我こそは!」という方は、ぜひチャレンジしてみてくださいね。

 

三つ首…からの「走る鶴」! 〜折り紙一枚でつくる「キモ鶴」をご紹介〜

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「ツルできました」
と言って渡して、二度見される感じがたまりません。


今日ご紹介するのは「足付き鶴」

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もとい「三つ首の鶴」です。

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両サイドの頭を下ろして加工すると、そのまま脚になります。


出典はYouTube
原作者不明なので、具体的なURLは伏せさせていただきます。
お時間のある時に、探してみてくださいね。


それにしても、こんな面白い作品、誰が考えたんでしょう。
どなたか、ご存知ないでしょうか?

〈5月23日追記〉
「3首鶴」は、前川淳さんの「本格折り紙」に掲載されていることが分かりました。
「三ツ首の鶴」という作品名です。

情報をくださったAbrahamさん、ありがとうございました。
早速ポチったので、折り図の確認が楽しみです^^

 

さて。
先日、ラジオ配信で折り鶴を作ったばかりですが…

masanii-origami.hatenablog.com

今日は「キモ鶴特集」でございます!


❶脚をリアルにするポイント
❷もっと簡単な「キモい鶴」
❸変態ぞろいの「#キモ鶴」
では、どうぞ。


♦︎♦︎♦︎


❶脚をリアルにするポイント
人間の脚を思い浮かべて、リアルに仕上げました。


まず、可動域である付け根(骨盤)。
まっすぐ下ろすと不自然なので、「両側で段折り」して左右をズラしています。


そして、スネの部分。
「かぶせ折り」することで、足の長さが強調されます。
中割り折りすると、前側が開いてしまいますが、これなら「一本の骨」の感じが出ます。


足首は、中割り折りを2回しています。
ナチュラルな関節を演出でき、なおかつ自立しやすい、ポピュラーな折り方です。
(今回は爪先立ちなので、自立しません)


最後に足先。
足の甲から、指にかけてのカーブを意識しました。


…という感じで、4つのこだわりポイントがあります。
軽快に走り去るツルの姿が、演出できましたでしょうか?

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❷もっと簡単な「キモい鶴」
今回は、一枚の正方形から、切らずにカドを出しています。
(「不切正方形一枚折り」といいます)


でも、もっと簡単にキモ鶴を作る方法があります。


シッポを2つに切り裂いて、ガニ股にする。


これは、ご存知の方も多いですよね。
小さい頃に、作って遊んだ人も多いのでは?


折り鶴さえ作れればOKなので、久しぶりに作ってみてはいかがでしょうか。


❸変態ぞろいの「#キモ鶴」
ひとたび「キモ鶴」と検索すると、出るわ出るわ…


特にTwitterのタグ「#キモ鶴」は、とんでもないことになっています。


名のある複雑系作家が、そのテクニックを駆使すると、こうなるんですね…


それから、折り鶴のアレンジといえば、yamakiさん。

twitter.com


えげつなさとバリエーションの多さは、完全に常軌を逸しています(いい意味で)。

そのタイムラインは、折り紙の常識をブチ壊す光景です。
ぜひ一度、チェックしてみてください。


♦︎♦︎♦︎


というわけで、今日は「3首鶴」「足付き鶴」のキモ鶴特集でございました!

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こうすると「犬神家」みたいだ…


「普通の折り鶴に飽きてきた」という、そこのアナタ。
折り鶴の世界は、奥が深〜いですよ!

 

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