まさにぃの折り紙コラム

折紙師範まさにぃのブログ。

Sipho Mabona「ツバメ」

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使ったのは15cm×15cmの和紙。
テキストの推奨サイズは25cm×25cmですが、問題なく折れました。胴体が少し厚くなるけど、何とかなります。

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ベースはアヤメの基本形(カエルの基本形Ⅱ)です。紙の中心はクチバシになり、4つのカドは羽と尾羽になります。

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この基本形は、カドの大きさが4つとも同じなので、アヤメなどの花系は相性抜群ですが、手足の長さや位置が異なる動物系は、ひとひねり工夫が必要です。本作品は大きな羽と細長い尾羽がありますが、配置の仕方がとても上手に作り込まれています(神谷哲史氏の「ペガサス」もこの構造です)。


目は「ちょっと折って、開く」。これが驚くほど有効です。二つ折りにしたカドなら、どこでも使えます。吉澤章氏の「めだか」などにも使われています。目の丸みと膨らみが良い感じに出てますね。

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そして、この作品の一番の見どころは、曲線で構成された美しいフォルムではないでしょうか。このフォルムを出すためには、主に2通りの折り方が使われています。


まず、羽の外側(頭側)。
羽全体を斜めに段折りしていますが、それだけではカクカクしてしまうので、根元を少し引っ張ってフラットにしています。フラットな面をゆるーく内側に折り込めば、ナチュラルな曲線のできあがり。コツは、段折りの際、引っ張る根元の部分は強く折らないこと。紙がもろくなり、結構派手に破れます。


次に、羽の内側と尾羽。
ここは曲線で山折りしています。これはポピュラーな方法なので、ご存知の方も多いのではないでしょうか。簡単なうえ、曲線だけでなく、膨らみ(へこみ)も生み出すことができるので、一石二鳥な折り方です。ちなみにマックのアップルパイの箱も同じ構造で、サイドのへこみと胴体の膨らみが同時に実現しています。紙が薄いとクシャクシャになって折りづらいですが、2本の指で挟めば、指の曲線で上手い具合に折ることができます。


私は折り紙をする際、爪楊枝やカッター(刃の背で折れ線をキメるため)などの道具を使いますが、動物や花など、曲線を多用する作品を折るには、やはり人間の指が一番です。かけた手間が、ちゃんと完成品のクオリティに現れるんですよね。機械では作れない、手づくりならではの温かみが感じられます。



さて、先日、我が家の玄関では、今年もツバメが巣を作り始めました。


昨年は5羽の子ツバメが無事巣立っていきましたが、巣で泣いてばかりだった子ツバメが、いつの間にか飛ぶ練習をしていたり、電線並んで留まっている姿を見ると、何だか嬉しくなります。


今年はどんなホームドラマが見られるのでしょうか。毎朝の楽しみが増えそうです。